でっきぶらし(News Paper)

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119号(1997年09月)5ページ

あらかると 「アクシスシカ子育て裏事情」

 アクシスシカは1979年にオス1頭、メス2頭が来園。翌年の80年3月1日には早くも1回目の出産が見られました。以来、出産に出産を重ね、今年の7月3日の出産で50頭目を数えるに至っています。
 もちろん、初めに来園したメス2頭が生み続けてこの数になった訳ではありません。その子供、またその子供も出産を重ねて、この数になったのです。
 その50頭の出産のうち、親が育てたもの19頭、異常があって育たなかった子が5頭、残りの26頭、半数以上が育児放棄です。こうして改めて数字を見せつけられると、余程のことがない限り育児はするものだとの思いは、どこかに吹き飛んでしまいます。
 とは言うものの、初代のメスは実に子育てがうまく、当たり前の話なのですが、子に先天的な異常がない限り全て育て上げました。
 問題は、その育てられた子が一人前になって、いざ自分の番になった時です。ほとんど面倒を見ることがありませんでした。
 育児は学習と言われていますが、いったい彼女たちは何を学習したのでしょう。ひどいケースでは8回目でやっと育てるようになった喜びも束の間、次の出産ではまた元のもくあみでした。結局、生涯でその1頭を育てあげただけでした。
 初代のメスがどうしようもない母親だったら、当園のアクシスシカはとっくにいなくなっていたでしょう。近い将来に初産を控えたメスがいますが、彼女はちゃんと子育てをしてくれるのでしょうか。なんとか面倒を見てくれるのを祈らずにはいられません。
(池ヶ谷正志)

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