でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 60号の4ページへ60号の6ページへ »

60号(1987年11月)5ページ

動物の食べ物 第9回 夜行性動物館その2

 まず一番手は、ココノオビアルマジロ。危険が迫るとボールのように我が身を丸くして守るという不思議な生き物です。生息地は中央アメリカ、フロリダ半島から南アメリカ、ほら、名作「小鹿物語」の中で、森の動物の一員としてよくこの動物が出てきたではありませんか。
 飼育成績はあまりよくありません。ですが、ちゃんと赤ん坊を生み育てたこともあるのです。もっともそれは私達の言う「持ち込み」、つまり妊娠した状態でやってきたものであっただけに、今ひとつ喜びに浸れませんでした。
 アルマジロの場合にそんなことが生じるのは、着床遅延のなせる業。というのは、妊娠から出産の間に空白、つまり受精したまま胎児が成長しない期間がある為です。「えっ」と驚かれる程のことではありません。誰しもご存知のジャイアントパンダもそうなら、クマやイタチの仲間もたいていそういう“空白”をおいて出産します。
 定かな理由は知りませんが、案外食べ物と深い関係があるのかもしれません。豊富な時期に発情がきて、取り合えず妊娠、そして乏しい時期をそのままの状態で乗り越える。そうして再び豊富な時期を迎えると胎児が発育し出産するのだとすれば、それぞれの種が自然界の厳しさの中を生き抜いてゆく為の精一杯の知恵の発揮、ただただうーんとうなるばかりです。

« 60号の4ページへ60号の6ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ