でっきぶらし(News Paper)

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97号(1994年01月)12ページ

あらかると[ゾウの糞]

皆さん、ゾウは糞をいったいどれぐらいの量をすると思われますか?ゾウに与える一日の餌は、サツマイモ12kg、ニンジン2kg、草食獣用ペレット5kg、乾草(干し草)30kg、稲ワラ10kgです。時々、竹を一本与えたりもしています。
これだけ食べれば、やはり出てくる量も多くなると思われるでしょう。そうです。食べた量と一緒か、それよりも多い量が一日に排泄されるのです。その量は6〜70kgにも及びます。
その糞は完全に消化されていない状態、乾草が細かくなっていたり、ワラもはっきり見えます。時には、サツマイモ、ニンジンの小さいものがそのままの形で入っています。それを一日に九回から、多い時には一五回ぐらいします。
一回にする個数が四個から時には十一個の時もあり、その一個の重さは450〜1300gの大きさのものまであります。
食べてから糞になって出てくるまでの時間は36〜40時間ぐらいです。何故、これが分かったと思われるでしょうか。これはいつも食べている以外の物を与えて、糞として出てきた時間です。
これだけの量をするのですから、便秘になると大変です。ヒトならイチジク潅腸で済むかもしれませんが、ゾウではそう言う訳にもゆきません。
ダンボが25年前、来園して間もない頃に便秘になったことがあります。恐らく成長期の食欲に任せて多く与えすぎてしまったのと、ダンボも又それに合わせて食べ過ぎてしまった為と思います。
お腹がふくれて糞が出ず、仕方がなく潅腸することになりました。器具はゴムホースとポリバケツです。
ポリバケツにおおよそ100〜150リットルの潅腸液(石鹸水)を肛門よりホースで注ぎ込みました。肛門を手で押さえているとその内お腹がごろごろ、と思いきや一気に床一面に潅腸液と糞が広がったのです。
ダンボは気持ちよくなったのでしょう、次の日より餌をいつものように食べ始めました。健康の目安の為の糞の確認。ヒトであれ、動物であれ、いちばんの大元です。便秘は正に大敵でした。
動物園を見学する時、動物のいろいろな糞の色や形を見て回るのは、案外面白いかもしれません。
(佐野一成)

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