でっきぶらし(News Paper)

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222号(2015年02月)5ページ

実習生だより

 私は9月16日から19日の4日間に渡りインターンシップをさせていただきました。現在、公務員になりたいと考えていますが大学での専攻が生物学であるため事務職とはかけ離れており志望動機に悩んでいました。しかし、なにか行動しなければ始まらないと思い市役所でのインターンシップを探していたところ動物園での募集を見つけ、応募を決意しました。日本平動物園は何度か訪れたことがあり興味をもって学べると思いインターンシップが始まることを楽しみにしていました。
 毎日異なる担当者の方に主に飼育について教えていただき、全日程でダチョウ、サイ、マレーバク、小型サル、夜行性動物、中型サルを担当しました。動物によってもっている特徴が異なり、お客さまへの見せ方も変わってくるのだということを知りました。ツチブタは舌が長いことが特徴であるため、餌を食べるときに舌がよく見えるようにペットボトルから食べる練習をしている最中で、見せ方は固定されているのではなく常に模索されているのだと知りました。中型サルのお世話の日は、ニホンザルの檻が少し壊れかけていたため檻の見直しについての話し合いを少しだけ聞かせていただきました。檻を直すことを機にガラス張りにしてはどうかという案があり、これはお客さまにとって動物たちをよく見ることができるという主張でした。しかしサルたちにとっては檻も遊び道具の一つであるため鉄格子のままの方がいいのではないかという案もありました。どちらの案も動物、お客さまにとってのメリットを考えてのことであり、両者にとって良い案を出すことは簡単ではないのだとわかりました。私は動物園を訪れた際にクマしか見ないこともあるほどクマが好きなのですが、そのことを知った担当の方が取り計らってくださり、ホッキョクグマの施設を見学させていただくことができました。一度に150トンもの水をろ過できる濾過器や、水を滅菌する塩素を害がでない程度にまで濃度を薄める調節をする機械や、水を透明にするためオゾンを加える機械などさまざまな高度な機械を教えていただきました。この機械があるおかげでロッシーやバニラは気持ちよくプールに入ることができ、また透明化されているおかげでお客さまが見やすいようになっていることを知りここにも動物だけのメリットではなくお客さまの視点が取り入れられているのだと思いました。また、動物たちをお客さまにより良く見てもらう工夫はもちろんですが、そのほかにも看板作りや、ベンチのペンキの塗り直しなど、動物園自体をきれいに見せることも大事だと知りました。この作業が飼育員さんの仕事であるとは知らず、驚きました。
 動物園の役割は普段見ることができない動物たちを公開するだけではなく、違法に飼われていた野生の鳥が自然に戻れなくなってしまった場合に保護したり、絶滅の危機にさらされている種を守るため飼われていたりするのだと教えていただきました。またバックヤードには病気にかかってしまった個体や、病気は完治したけれど群れに戻れなくなってしまった個体を死ぬまで世話しており、課題が多くあるのだと感じました。
 この4日間でたくさんの動物に触れ、餌をあげ、排泄物の掃除をして今まで以上に愛着がわきました。特にサイは以前は興味がなかったのですがお世話をするごとに可愛く見え、名前を呼ぶと寄ってきてくれることにとても感動しました。これは飼育員さんにしか味わえない感動であり、このような動物との触れ合いやうれしさをお客さまにも伝えたいし味わってほしいと思いました。動物園の良さをこの実習を通してより実感し、素敵な動物園を事務職として管理し支える仕事をしたいと強く思いました。市役所に就職したいという思いが高まり、日本平動物園でインターンシップをすることができて本当に良かったです。なにより毎日が楽しく、とても有意義な4日間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。

静岡大学 森本和香乃

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