でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 216号の3ページへ216号の5ページへ »

216号(2014年02月)4ページ

こんにちは!あかちゃん

 「卵」といえば、どんな動物の卵が思い浮かびますか?
 卵を生む動物はいろいろいますが、ニワトリの卵!と思われた方、多いのではないでしょうか。今回は、みなさんになじみのあるニワトリの卵と、ヒナの誕生までのおはなしです。
 卵には2種類あります。1つは、お母さんがお腹の下で温めると、赤ちゃんが生まれてくる卵(有精卵)です。もう1つは、温めても赤ちゃんが生まれてこない卵(無精卵)です。母鳥は卵を産むと、お腹の下で温めます。さらに、卵の中身と殻がくっつかないように、足でときどき卵を転がして、位置を変えています(転卵)。卵を温めている間は、ご飯を食べたり、水を飲んだりすることはもちろん、ウンチをすることだって極力我慢して、卵(ヒナ)にとってよりよい環境を作ろうと努力します。鳥によって卵が孵(かえ)る日にちは異なりますが、ニワトリやウコッケイは約21日で孵化(ふか)します。お母さんはそれまでずっと温め続けるわけです。こんなに労力を使うので、産む度に卵を温めていたら、母鳥がどんどん弱ってしまいます。そんな時に頼りになるのが、孵卵機(ふらんき)という卵を孵化(卵からヒナが生まれること)させるための機械です。母鳥の代わりに、卵に適した温度や湿度を保ち、転卵もしてくれます。
 孵化日が来たら、今度はヒナにバトンタッチ!
ヒナの最初のお仕事は、自分を包んでいる殻を破って、外の世界に出てくることです。
 ヒナが中からコツコツと殻をたたくと、ピキピキッとヒビが入り、パカッ!と殻が真っ二つに割れ、可愛いヒナがピヨピヨと鳴きながら出てくる……このように、ヒナがすぐに生まれてくると思われがちですが、実際は長い時間がかかります。さらに、とても体力を使うので、卵から出てくる直前に力尽きてしまったり、それ以前に卵の中で死んでしまったりと、卵は温めれば生まれてくるというものではありません。
 それでは、実際にふれあい動物園で孵化したウコッケイの卵のおはなしをしますね。
 孵化日の朝、孵卵機の中の卵を見ると、表面に小さな穴が開いているのを見つけました。覗くと、暗闇の中でかすかに何かが動いているのがわかりました。もうすぐ生まれる!そう思い、チラチラと孵卵機の中を覗いていましたが、何も進展のないまま8時間が経ちました。ようやく2回目のはし打ち(内側から口ばしで卵の殻をつつくこと)が行われ、穴が少し広がり、ヒナの口ばしの先端が出てきました。周りの飼育員を呼んで、卵が割れる瞬間を食い入るように見ていました。じーっと見ること15分。まだ生まれないのではないかと気を抜いた瞬間、横にピキピキッ!と、ジグザグの亀裂が入りました。その亀裂をピヨピヨと力一杯鳴きながら、時間をかけて一生懸命体を動かし、広げていきました。そして、ついに卵が割れ、中からヒナが顔を出しました。卵から出てきたヒナは、ビショビショに濡れていて、目も開いていませんでした。動きもよろよろとおぼつかない様子だったのですが、数時間後には自分でエサを食べるまでになっていました。わたしたち人間は、すぐに自力でご飯を食べることはできませんよね。そんなヒナの姿を見て、小さな体に秘められた生命力の強さを感じました。
 大仕事を終えたヒナの口ばしをよーく見ると、先端に何かがついています。これは、卵歯(らんし)とよばれるものです。はし打ちの際、卵が割れやすくなるように、ヒナの手助けをしてくれます。卵から出たヒナには必要がなくなるので、数日でとれてしまいます。卵歯がとれることが大人
への一歩であり、ここからぐんぐん成長し、みなさんが目にするウコッケイになります。今回登場したウコッケイのヒナが、ウコッケイたちの仲間入りをしていると思いますので、6羽目のニューフェイスをぜひ見に来て下さいね。
 最後に、ふれあい動物園でふれあうことができるヒヨコたちは、みんな生まれたばかりの赤ちゃんです。その中には、口ばしに卵歯がついているヒヨコもいます。みなさん、ヒヨコをだっこするときはやさしく両手で包んであげてくださいね。そして、温もりを感じてみてください。

飼育担当 弓削 美可子

« 216号の3ページへ216号の5ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ