でっきぶらし(News Paper)

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215号(2013年12月)3ページ

夏のワクワク!ドキドキ!体験

 時期外れな話になりますが、この夏のワクワク!ドキドキ!したお話をします。
 猛獣館にいるシロフクロウが、なんと「卵」を産んだのです!!
 5月の中旬頃にオスが少し落ち着きがなくなり、地面をキョロキョロするようになりました。普段はおとなしくほとんど鳴かない鳥なのですが、5月下旬には餌(マウス)を与える際に今まで聞いたことのない鳴き声で「ブー、ブー、ブー・・・」と鳴き、メスもそれに反応するように「ゲッ、ゲッ、ゲッ、ゲッ」と鳴くようになりました。6月に入るとオスは、掃除や観察のために近づくと「ホー、ホー、ホー、ホー」と鳴いて警戒するようになりました。また掃除道具のホウキに足の鋭い爪を立てて攻撃するようにもなってきました。その威嚇行動は日に日に強くなってきて、ついには掃除もままならなくなり、餌を与えるのがやっとの状態になってしまいました。そんなオスの威嚇攻撃が強くなってから数日が経った頃、メスが地面に浅いくぼ地を掘って巣のようなものを作り、時々そこに座るようになりました。そして、巣に居るメスのところへオスが餌をくわえて運ぶ行動(プレゼンティングと言います)もするようになり、いよいよ繁殖行動が本格的になってきました。こうなると卵を産むのは、いまかいまかと期待に胸を膨らませワクワク!ドキドキ!する日々が始まりました。
 そしてついに6月7日の朝にメスが巣にジッと伏せて動かなくなりました。どうも卵を産んだ様子です。しかし、その時からメスが巣から離れないので産卵したかどうか確認できません。しかも毎朝、餌やりと水替え作業のために獣舎に入る時が唯一の観察時間となるのですが、なにしろオスの攻撃が強く、サッと入ってサッと出てくるありさまなので観察どころではなく、なかなか産卵の有無が確認できない日々が続きました。
 普段は非常に大人しく掃除の際も逃げてまわっていたのが、繁殖期になるとこうも人が(鳥が)変わるものかと驚きました。
 メスが巣で抱卵態勢を取り始めてから10日経った日に、メスがたまたま巣から離れたので巣の中を確認すると、卵が3つありました。これで卵を産んで温めているという事実が判明したので、あとは卵が孵るのを待つばかりです。シロフクロウの抱卵日数は約33日なので、孵化予定日が待ち遠しくてたまりません。
 メスは、羽づくろいや水を飲む時以外のほとんどを巣に留まってずっと卵を温めています。オスはメスが巣を離れるとすぐに巣に近寄って卵を見張ります。この2羽の卵を守ろうとする気持ちやけなげさを見ていると動物が子孫を残すための強さに感心するばかりでした。
 そして月日が流れ、やっと待ちに待った卵の孵化予定日(7月11日)が来ました。このころになるとオスの攻撃は相変わらず激しいもののメスは落ち着いていて、餌のマウスをわざと巣の近くに投げ与えると少し巣から離れるようになり、巣の中が確認できるようになっていました。この日も「どれどれ、ヒナが誕生しているかな~」と期待に胸をふくらませていつものように餌を与えて、メスにちょっと巣からどいてもらい巣の中を確認すると、卵まだ孵化していません。予定日の算出がちょっと早かったのかな…と次の日に期待することにしました。けれども次の日、そのまた次の日になっても卵は孵化しません。メスは相変わらず卵を大事に抱いています。こうなると「もしや無精卵か?」との思いがよぎり、それでもどれかひとつでも孵ってほしいとの思いで、念のためにもう何日か抱かせることにしました。それから何日経っても一向に卵が孵ることはなく、かれこれ2週間が経ち、抱卵日数も50日となりました。残念ながらもう孵化する可能性が無いと判断し、卵を取り上げることにしました。当然、オスもメスも興奮し怒って攻撃してきます。「ごめんね、ごめんね…」と声をかけながら卵を取り上げ確認してみると、3卵共やはり無精卵でした。
 しかし、卵を取り上げられたメスは案外あっさりしたもので、半日も経つと巣から離れて、いつもいる止まり木に止まって羽づくろいをしているではないですか・・・。あの卵への執着心はどこへいったのやらといった感じです。一方オスは、まだ卵を取られた恨みが残っているようでこの後何日も攻撃してきました。
 ということで、今回残念ながら待望のヒナ誕生とまでとはなりませんでしたが、担当になってから初めての経験でワクワク!ドキドキ!の2カ月間でした。狭いながらも環境を変えたおかげで産卵し、一生懸命抱卵までしてくれたこのシロフクロウたちに次回(来年)こそはと期待したいと思います。
 「来年こそはたのむね~!!」

飼育担当 花崎 貴行

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