でっきぶらし(News Paper)

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214号(2013年10月)7ページ

スポットガイドだよりNo1

《7月21日 マレーバク》

 7月21日・13:30より、マレーバクのzoo スポットガイドを開催しました。やや暑い日でしたが、そこそこの木陰や風もあり、ガイドを行う条件としては良かったと思います。
 今回のマレーバクのスポットガイドは、新設された真新しい獣舎前が会場で、殆どの?方々は御存知だと思いますが……この新しい施設も、近年、当日本平動物園で続いてきたリニューアルの一環として建設された物です。ちなみに、当園の新設獣舎は、動物の種類や敷地の関係等で旧獣舎から離れた場所に造られる場合もありますが、これに対してマレーバクの新設獣舎は旧獣舎と同じ場所に建設されました。もちろん、動物をそのまま旧獣舎に住まわせたまま工事をした訳ではなく、建設期間中、バク達には当園敷地内に存在する私達がバックヤード棟と呼んでいる施設に一時引っ越ししてもらい、旧施設を完全に空にしてから工事を着工~建設~完成と言う手順を踏んだのです。この一時引っ越しには、副次的な良い処が幾つかありましたが、その代表的な例を挙げれば、元来寒冷に非常に弱い彼らが、工事期間中たまたま寒い時期であったので、バックヤード棟の中で暖かく過ごす事が出来た事でしょう。
 さて、今回のスポットガイド…私達古参の職員から見て、まだ新人のカテゴリに含められてしまっていますが、なかなかの知識と能力を兼ね備えた担当者が判り易く、しかも詳しくガイドを行いました。彼の解説に、参加者の皆さんは感心しきりの様子でした。
マレーバク。草食性のこの動物は外見こそおっとりして見え、気が小さい様に見える方もいるそうですが(確かにとても神経質な動物ですが)、実は彼らは非常に【こわい】動物なのです。何が【こわい】かと言えば、彼らはあの一見優しげな愛嬌のある顔立ちの下に、ずらりと並んだ鋭い歯と、強靭な顎を持っているからです。しかも、驚いたりパニックになったり、当たり前ですが怒った時に、いきなり噛みついてきたりします。それはほぼ、危険動物の範疇に入れてもおかしくないくらいの【こわい】要素です。その為、担当者はこの要素を充分過ぎる程認識し、用心しながら彼らに接しています。
 タイの山岳地方に住んでいる多くの人々が昔から言い伝えてきた話に【バクと言う動物は、神様が太古、色々な動物を創造した時に余った幾つかの動物の(パーツ)を組み合わせて創った】と言うものがあるそうです。その話を聞くと何だか和やかな気持ちになりますが、考え方を変えれば、この伝説の中には沢山の寓意……それも警告的な寓意が含まれている様な気がしてなりません。私には…昔の人々からのこんなメッセージが感じられます。【バクの身体には危険な(パーツ)があるんだよ。気をつけなさい】と…。
 考え過ぎでしょうか?

ZOOスポットガイド班長 長谷川 裕

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