でっきぶらし(News Paper)

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214号(2013年10月)2ページ

祝 グランドオープン!番外編 密かにリニューアルオープン

 今年の4月2日にグランドオープンを迎えた日本平動物園。オランウータン館、草食獣舎、ふしぎな森の城が完成し、6年間にわたる再整備事業が完了しました。しかし、もう1つだけ、この春に新しく生まれ変わった施設があるのをご存じでしょうか?メディアにも取り上げられていない、知る人ぞ知る穴場スポットをご紹介します。
 密かなリニューアルオープンを迎えた施設、それは動物園の西側に位置するマレーバク舎です。以前の獣舎は昭和46年に建てられたもので、当時の飼育係が手作業でコンクリートブロックを積み上げたと聞いています。それから約40年が経ち、当然ながら老朽化が進んでいました。壁は黄ばみ、扉は錆びてボロボロ、トタン屋根には雨音が響き、底冷えする獣舎は、寒さと乾燥に弱いバクにとってはなかなか厳しい環境だったと思います。さらに、もともとはカピバラの獣舎だったためか、放飼場のプールはバクにとっては浅く、バクが水浴びをするために体を横にし、窮屈そうに水につかっていたこともありました。また、放飼場は園路より約2mも低いレベルにあるため、お客さんは放飼場にいるバクを遠くから見下ろさなければならず、悪天候や寒い日にバクが寝室へ入ってしまうと全くバクが見られない、そんな獣舎でした。
 今回、マレーバク舎をリニューアルするにあたり、①バクが健康的に過ごせること、②お客さんがバクと同じ目線で間近に対面できること、③バクが放飼場に出られない場合でも、お客さんが寝室にいるバクの様子を見られることに重点を置きました。その結果、バクの肢に負担がかからないよう寝室の床にはクッション性のあるラバーゴムマットを採用し、放飼場のプールは約20cm深くなりました。放飼場には、新たにガラス越しにマレーバクを覗けるスペースを設け、寝室に設けられた4つの窓からは寝室にいるマレーバクを目の前で観察できるようになりました。寝室の窓は様々な高さに設置されているので、ベビーカーに乗る赤ちゃんから大人まで、誰でも覗くことができます。
 寝室は個体ごとに分かれており、お客さんが覗ける一番手前の寝室はヒカルの寝室です。ヒカルは10月で2歳になり、独り立ちする時期が近づいてきました。今までは母親のミライと一緒に過ごしていましたが、今年の7月末から本格的な別居を始めました。初めは独りで寂しいのか、大きな声で鳴いたり走り回ったりしていましたが、1週間ほどでだいぶ落ち着き、今では独り暮らしを満喫(?)しているようです。
 新しい獣舎になり、お客さんから一番よく聞こえてくるのは、「バクってこんなに大きいの!?」という声です。バクというと、大型犬くらいの大きさだと思っている方も多いようです。いざ対面してみると、その大きさに圧倒されるでしょう。特にマレーバクは、バク科4種の中で最大で、体重は300~350kgもあります。他にもマレーバクの体には不思議がいっぱいつまっているので、今までよく見られなかった細かい所まで新獣舎でじっくり観察してみてはいかがでしょうか。バクたちも鼻を長~くして、皆さんのお越しをお待ちしています。

飼育担当 横山 卓志

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