でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 212号の6ページへ

212号(2013年06月)7ページ

スポットガイドだよりNo2

《4月21日 動物病院》

 4月21日・13:30より、動物病院のスポットガイドを開催しました。
 以前…正確には1年前、やはり4月に、この動物病院を舞台にしたスポットガイドを開催しましたが、これは、それこそ1年前もスポットガイドだよりで御伝えした事ですが、当園のスポットガイドは慣例的に4月は動物病院で行う事になっているからです。
 何故、それが慣例に成っているかと言えば、新年度に入ると私達動物園スタッフは担当している動物の担当替え…一般の方々の感覚で言えば内部での配置転換が行われることが多く、この様な状況になった場合、新しく担当する事になった動物と新担当者の関係性がまだ培われていなかったり、その動物に関する仕事内容に新しい担当者が慣れていなかったりするので、とてもスポットガイドを行える状態では無いのですが、動物病院に関してはガラリと全員の担当者(獣医さん達等です)が変わる事がまず無いので、安定した?スポットガイドが行えるからです。つまり、新年度最初の月である4月に開催するスポットガイドとしては、こうした理由で動物病院が最適なのです。
 さて、今回の動物病院でのガイドは、参加者の皆さんを30名様限定で当日募り、それぞれ3グループに分かれていただいて、それぞれ病院内の手術室(処置室)・入院動物の収容ブース・解剖室に時間差で入ってもらいました。更に、今回は古参の?獣医さん達はサポート役になり、今季の4月に当園に入った数人の新人達が、各部屋に参加者の皆さんを誘導~解説・説明をする形式を執りました。こう記述すると、『何だ?さっき言ってた4月に動物病院でスポットガイドを行うという内容と矛盾するじゃないか?』と思われるでしょうが…前述のように古参の?獣医さん達がいざという時にはサポートに回ってくれるので、ガイドが上手く進行しないという事態には、ほぼ成りえないのです。これが、他の動物担当のガイドであった場合は…これも前述した事ですが、なかなかこの様な良好な条件には恵まれません。新年度に担当替えになった場合、基本的に新担当者が単独で業務に従事している為、その仕事内容に精通している誰かのサポート無しで、新担当者がぶっつけでガイドをする事に成ってしまうからです。
 さて、今回…と言うより毎回の事ですが、参加者の皆さんが動物病院に関して興味を多く惹かれる事柄が、3事例程あります。一つは、動物病院の手術室(処置室)で使用されている各種の機材の殆どが、人間の病院で使用されている物と同じ物である事。この中には、手術用の無影ライトや酸素吸入器、保育器も含まれます。二つ目は、保護され動物園に収容されている野生動物の中に、私達の世界でよく言われる【善意の誘拐】によって【連れて来られてしまった】動物達が存在すると言う事実です。これは動物の種類に限らず大変多い事例で、簡単に言えば、動物の親が子供を独り立ちさせる為に、すぐ近くで見守り、子供に自立訓練をさせているのに、通りかかった人間が迷子になっていると勘違いして連れ去ってしまう事です。こうした【勘違いの善意】で【誘拐】され、当園に連れて来られる動物の子供達は、季節の違いはありますがとても多いのです。
 最後の三つ目は、主に解剖室で説明されました。動物園では、殆どの場合、死亡した動物達の亡骸や毛皮・骨格を保存しています。これらは、様々なガイドや説明会等で直接、一般の方々に見てもらったり物によっては触ってもらったりします。つまり、動物達は死んでしまった後も、こうした形で皆さんの教材になったり、動物に対して理解を深めてもらう為に役に立ってくれているのです。
 毎回の事ですが、今回の動物病院のスポットガイドは、中身の濃い、非常に実りのあるものになりました。

ZOOスポットガイド班長 長谷川 裕

« 212号の6ページへ

一覧へ戻る

ページの先頭へ