でっきぶらし(News Paper)

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170号(2006年06月)5ページ

動物園実習だより 実習を終えて

岩手大学獣医学科2年 梨本真衣

 私は、この春休みを利用して日本平動物園で9日間の獣医実習を行いました。日本平動物園には小さいころから何度も行ったことがあったのですが、もちろん今までは動物園の裏側を見ることはなかったので見ること、やることすべてが勉強になりました。
 獣医実習ということで、主に園内にある動物病院で実習を行いました。病院には多くの動物がいました。病院とはいっても小動物の動物病院とは違って病気の患者ばかりではなく、ほかの個体とうまくいかないサルや、老齢で寒さに弱いヒョウ、外部から持ち込まれる野生動物などがいました。
 最初の4日間くらいは、午前中はほぼ動物病院で、飼育員の方に動物たちの世話の方法や、餌のあげ方などを教わりながら、普段からの健康管理の大切さを学びました。動物園にいる獣医師は動物に比べて明らかに少なく、すべての動物の健康状態を把握するのは難しいため、飼育員が普段の世話の中で動物の小さな異変に気づける細やかな観察力を持つことがとても重要なものだと改めて感じました。実際に、私が作業ばかりに気をとられてしまい動物の異変に気づくことができなかったときにも、飼育員の方はすぐに気づいて獣医さんにその異変を報告し相談をしていました。動物は話せないので、その小さなメッセージを見落とすことが大きな失敗につながってしまいます。そこで、勉強も大事だけどこのような実習の中で観察力をちゃんと身につけたいと思いました。
 動物たちの世話以外に獣医実習ということで、午後の時間を利用して、今私が勉強していて理解できる範囲での専門的な作業などを獣医師の海野さんと野村さんが交互に教えてくださいました。私が実習に行ったときにはちょうど検疫中のヒゲサキがいたので寄生虫の検査を教えてもらいました。まだ2年生の私はほとんど専門的なことを習っていない状態だったにもかかわらず細かく丁寧に質問に答えてくれ、その質問に付け加えてさらにいろんなことを教えてくれました。細菌検査はきっとこれから勉強していくと思うのでそのとき理解を深めるのに役に立てたいと思いました。
 実習をして6日目の午前中は私の希望でペンギンの世話を手伝わせてもらいました。プールをスイスイ泳ぐペンギンたちはとてもかわいかったです。そのペンギンたちが健康に暮らしていけるのは、もちろん普段彼らを世話している飼育員の日々の健康管理によるものです。私は改めて動物を観察することは大切なことだと思いました。そして、ペンギンの健康状態をチェックする方法は柵の外からでも調べられるので、動物園や水族館に行く機会があるときには今回勉強したことを思い出して柵の外から観察してみようと思いました。
 始める前は長いと思っていた9日間でしたがあっという間に終わってしまい今になると短い間だった気がします。この9日間は本当にいろんなことがあって毎日わからないこと、勉強することばかりで全然役に立てなかったと思うのですが、これからもっと勉強してこの日本平動物園で働いている3人の獣医さんのようになりたいと思いました。そして、ご指導をしてくださった職員のみなさん、ありがとうございました。

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