でっきぶらし(News Paper)

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142号(2001年07月)6ページ

動物園飼育実習を終えて 東京コミュニケーションアート専門学校 外岡

6月11日から7月7日までの4週間、実習生として日本平動物園で勉強させていただきました。最初の1週間は1斑から始まり、2斑、3斑、4斑と1週間ごとに別の斑での実習でした。実習の目的は現場での仕事を見学・体験することと、動物の展示方法や飼育方法を見ながら少しでもその生態を勉強することでした。日本平動物園を実習場所に選んだのは、私が歩けるようになった頃から何度も通い、動物のことを勉強したいと思うようになるまで大きな影響を受けた動物園だったからです。

 実習を始めてまず感じたことは、動物たちの大きさを自分がよく知らなかったことです。モートなど、動物と人の間に距離があるところに飼育されている動物はみんな私が想像していた大きさよりひとまわり大きく見えました。得に、アジアゾウの放飼場でゾウたちと同じところに立ったときの彼女たちの大きさには驚きました。トラやライオン、クマたちは、実際に放飼場の中に入ってみると、人間側から見るのとは違っていました。回りにある壁はとても高く感じ、何よりも人からは動物が近くにいるように見えるのに実際はかなり離れていました。放飼場の造りや見せ方によって、実際の距離よりも近くから見ているように工夫できておもしろいと思いました。

 掃除のやりかたや、デッキブラシやホースなどの道具の使い方などは教えていただいた方によって少しずつ違っていましたが、先入観も特に持っていなかったので色々なやり方を教わることができました。ただ、見るのとやるとでは大違いで、私がやってみるとなかなかうまくいかず、道具を使っているというよりは単に動かしているだけの様に思えました。その為何をするにも時間がかかってしまい、時間を決めて仕事をされている皆様に迷惑をかけてしまいました。それでも終わるまで仕事を任せていただけて、申し訳ないと思いつつもうれしかったです。

 私の通っている学校でも小動物を飼育していますが、知らない人が来ると警戒することがあります。動物園の動物たちは、毎日同じ時間に同じ様に仕事をしているので、突然私が入っていったらさぞ驚くだろうと思っていましたが、予想していた以上に様々な反応をみることができました。実際にとても警戒して、私の方に耳を向けて鼻をひくひくさせながら、一定の距離をとっている動物がほとんどでした。しかし、中には初対面にもかかわらず群から離れ、近寄ってくるアクシスジカやバーバリシープ、掃除を始めると部屋の中をのぞきに来るシロサイのサイコなど、同じ種類の動物の中でも性格によっても反応が違っていました。

 類人猿舎でのチンパンジーたちの反応が一番印象的でした。3日間だけでしたが、水をかけられながら、一つの社会として成り立っている中にはいるのは本当に難しいことだと思いました。また、以前ゴロンに檻越しに白菜をもらったという思い出もあり、チンパンジーのところへ行くために、誰もいないゴリラの部屋を通る度に少し寂しい気持ちにもなりました。

 作業だけで手一杯で、気持ちに余裕がなかったこともあり、私はよく動物を観察できませんでした。しかし、私が動物たちをみても「いつもそうかな・・・・。」と思ってしまい、悪いところがあっても気付かないと思います。動物の健康状態や精神状態などは、毎日みているからこそ小さな変化もわかるものだと思いました。彼らに適した環境作りや観察、習性を知るなど、どの分野でもそうですが一生勉強なのだなと実感しました。

 1ヶ月という期間で飼育係の皆様の仕事を全て理解することは不可能なことですが、物珍しさというだけの意味で楽しい実習にならないように自分なりに一生懸命やらせていただきました。皆様がお忙しい中親切に接していただいたお陰でとても充実した実習になりました。また、皆様のお話を伺う機会がたくさんあり、より内容の濃いものになりました。この実習での体験は私にとって財産であり、今後私が成長していく上で大切なものになりました。感謝の気持ちで一杯です。大変お世話になりました、ありがとうございました。

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