でっきぶらし(News Paper)

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昭和58年度 動物園の1年 総括編

 出産、死亡、病気、怪我、事故、出入園等を、月別にしてその中の主なものを紹介してきました。が、例によって保護動物にはほとんど触れずじまいでした。
 そこでもう一度総括して、特に主なもの、覚えていてほしいものを上げ、保護動物まで含めて紹介してゆきたいと思います。
 
◎繁殖
5月25日   ブラッザグェノン(5年連続)
6月 8日   マレーバク(3年ぶり2頭目)
   8日   ツクシガモ(人工・初)
   11日  カリフォルニアアシカ
   15日  アンデスコンドル(人工・2年連続)
   21日  マサイキリン(人工・2回目)
7月 5日   オオヅル(3年ぶり)
   18日  チリーフラミンゴ(初)
   24日  コモンマーモセット(初)
8月 1日   ベニイロフラミンゴ(初)
   3日   ベニイロフラミンゴ
10月11日  ベンガルトラ(人工)
    9日  オグロワラビー
12月27日  ワオキツネザル(他1例あり)
1月28日   ジャワオオコウモリ(他3例あり)
 
◎死亡
4月15日   ダイアナモンキー・オス(開園以来で13年9ヶ月飼育。腸捻転にて死亡。)
5月4日    キンバト・オス(開園以来で、13年10ヶ月飼育。老衰にて死亡。)
5月14日   ムササビ・メス(旧夜行性動物館の主で、10年くらい飼育。老衰にて死亡。)
9月13日   ハイイロキツネザル・オス(2頭の繁殖に貢献。10年4ヶ月飼育。左腎萎縮にて死亡。)
10月30日  ダチョウ・オス(開園して間もなく来園し、飼育係数名を恐怖に陥れたことあり。13年10ヶ月22日飼育。脳内出血にて死亡。)
12月8日   ルリコノハドリ・オス(旧・新熱帯鳥類館を行来。11年間飼育。肺水腫にて死亡。)
2月4日    アルダブラゾウガメ・オス(爬虫類館開館時より。10年10ヶ月飼育。肝硬変にて死亡。)
2月8日    メガネカイマン・オス(闘争で片足をもぎ取られて死亡。10年3ヶ月飼育。)
2月9日    ベニヘラサギ・オス(フライングケージの暴れん坊。12年10ヶ月飼育。貧血気味から凍死。)
2月11日   スローロリス・メス(旧・新夜行性館を行き来。9年7ヶ月飼育。化膿性心のう炎にて死亡。連れ合いも5日後に死亡。)

◎来園動物
 4月に新熱帯鳥類館、新夜行性動物館がオープン。年が明けて1月に第2小型サル舎がオープン。そんなことがあって、例年になく多くの動物が来園しました。単純に数えて64種類。その中の主なものといえば、ココノオビアルマジロ、フェネック、ジャワオオコウモリ、ツチブタ、ペルーイワドリ、オウカンエボシドリ、オオオオハシ、シギ類、ジェフロイクモザル、タンチョウ、エリマキキツネザル、キンクロライオンタマリンを含むマーモセット類かと思われます。
 
◎出園動物
 この中の主なものといえば、やはりオランウータンのケン。4年余り飼育された後の5月22日、北海道釧路市立動物園へ行きました。
 次に人工哺育で話題をよんだマサイキリンの一樹、これは5月23日に別府楽天地へ行きました。
 昨年の3月下旬に生まれたボアコンストリクターの子が、5月25日沖縄こどもの国へ。
 初めての人工育雛で苦労して育てられたコンドルが、6月9日長野の飯田市立動物園へ。
 開園以来飼育されていたテナガザルのドンが、7月28日横浜市野毛山動物園へ婿養子に。
 パルマワラビーのオス、これも11月7日に野毛山動物園へ。血の入れ替えが主な目的でした。
 他、ハクビシン、キンケイ等が、富山市立動物園の開園祝いに寄贈されました。

◎保護動物
 哺乳類はさっぱりと数えることができて、9種38点。内訳は、ムササビ2頭、モモンガ2頭、リス1頭、タヌキ17頭、ハクビシン11頭、キツネ1頭、ニホンザル2頭、アブラコウモリ1頭、ニホンシカ1頭、ニホンカモシカ1頭でした。
 相変わらずタヌキ、ハクビシンが多く、他を圧倒しています。特筆したいのはモモンガで、保護は開園以来初めてのことでした。カモシカの保護も目立ちだし、ここのところ年に1〜2頭の保護はあるようになっています。
 鳥類の保護は実に多く、種名をいちいちあげることができません。目別にいっても、スズメ目24種123点、アマツバメ目1種10点、ホトトギス目1種1点、ワシタカ目5種5点、コウノトリ目5種44点、ガンカモ目4種25点、ミズナギドリ目3種3点、チドリ目13種17点、ヨタカ目1種1点、ツル目1種1点、キジ目2種2点、ハト目2種25点に及びます。
 その中の主なものは、相変わらずのツバメ、ムクドリ、ゴイサギ、コサギ、カルガモ、キジバト等です。珍しいものとしては、カヤクグリ、オオタカ、チョウゲンボウ、チゴハヤブサ、オーストンウミツバメ、セグロアジサシ等があげられます。
 変わってきていると思われるのは、ヒメアマツバメの保護が増えていることと、逆に常連だったオオコノハズクの保護がなくなっていることです。自然の時々の変化が、こんな結果をもたらしているのかもしれません。

 以上、動物園の1年でした。目標の50号に着々、この“でっきぶらし”が続く限り、また来年も総まとめに挑戦したいと思います。
(松下憲行)

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