でっきぶらし(News Paper)

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動物園の一年(前編)◎五月 ベビーラッシュ、コクチョウ咬傷される他

先月にニュース漏れがあるとすれば、ダチョウの産卵。無精卵であれ、まともな形で取れたのは初めてのことですから―。五月に入っても、二日、七日、十二日と産卵。見本だけはしっかりと取れました。
春がピークにさしかかってのビッグニュースは、何といってもベビーラッシュ。毎年、五〜六月に集中し、今回にしても、六日のフルーツコウモリの出産に始まって、エリマキキツネザルの出産、コンドルの人工ふ化、アメリカバイソンの出産、ブラッザグェノンの出産、フロリダキングスネークのふ化、パラワンコジャクのふ化、オグロワラビーの袋より子の顔の見せ始め等、実に多様な動物が新たな生命を誕生させています。産卵も含めるなら、フンボルトペンギン、ベニイロフラミンゴ、キンバト等も仲間入りしています。
更に話題を抜粋するなら、フルーツコウモリは、ようやく新夜行性動物館の環境に慣れた中で、それぞれ競うように出産。又、他園における繁殖例がなく、育児行動は非常に関心の持たれるところであり、担当者を中心にした行動観察チームが編成されました。
エリマキキツネザルはブリーディングローンで、つまり繁殖を目的として借り受けた動物で、早々とそれを達成したことになります。これからも、当園だけでなく他園においても、稀少動物や雌か雄どちらか一方が欠けた場合には、今回のようなことが積極的に計られると思われます。
コンドルは、人工ながら四年連続のふ化、毎年二月下旬あたりからディスプレーが見られ、三月には産卵するようになっています。春の代名詞になりつつも、そろそろ自力で頑張ってくれてもよい頃でしょう。
アメリカバイソン・メリー、遂に母親を越える八頭目の出産。当園において草食獣の飼育はそう多くありませんが、その中でダントツの成績を残しています。メリーの子ナオコもそろそろ一人前、今ひとつ人気は冴えないものの、世代交替も順調にゆき、確かな歩みを見せています。
連続出産なら負けてはいないぞ、と顔を出してくるのはブラッザグェノンです。毎年、五〜七月にかけて七年続けて出産し、無事に育ちきらなかったのは、わずかに一頭のみ。すでにモンキー舎の繁殖の女王になっており、後は何処まで記録を伸ばすか、それが最大の楽しみになっています。
ベビーラッシュの中で、何もかもいいことばかりが続いた訳ではありません。最もショックを与えてくれたのは、コクチョウが何者かにかみ殺された事です。向こうっ気が強い故に、外敵に対し果敢に立ち向かってゆくのですが、それが裏目に出て哀れな結果を招いてしまいました。

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