でっきぶらし(News Paper)

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実習生だより②

 8月14~16日の3日間、飼育実習をさせていただきました石原です。これから、実習の感想を踏まえたうえで、「私にとっての動物園」についてお話ししようと思います。

 私は、幼いころから動物が大好きでした。今、振り返ってみると私が動物を好きになったきっかけは、動物園のふれあい広場でウサギやモルモットなどとふれあったことが一番にあるのではないかと思います。これを機に私は動物園をよく訪れるようになりました。はじめは、ふれあい広場だけを目的としていた私でしたが、だんだんとほかの動物にも目を向けるようになり、野生動物に大きな関心を抱く今に至ります。テレビ番組の野生動物特集があると必ずと言っていいほど見ていました。しかし、知れば知るほど良いことだけでなく悲しい現実も目の当たりにしました。それは「絶滅」です。絶滅にはいくつかの要因がありますが、例えば、地球温暖化またそれに伴った気候変動によって、多くの動物が絶滅の危機に追いやられています。日本平動物園で人気者のロッシーくんやバニラちゃんでおなじみのホッキョクグマも例外ではありません。ホッキョクグマは狩猟によって個体数が減少していましたが、国際的な保護が功を奏し一時は絶滅の危機を脱しました。ところが、現在は地球温暖化によって絶滅が危惧されています。いったい私たちに何ができるのでしょうか。答えが見つからないままでしたが、大学の野生動物学の講義でヒントを見つけました。動物園には四つの明確な役割があったのです。それは、種の保存、教育・環境教育、調査・研究、レクリエーションです。私は今回の実習中、四つの役割を考えながら行わせていただきました。

 それでは、実際の実習についてお話します。私が担当させていただいた動物班は猛獣班でした。1日目はトラやピューマ、ライオンなどの猛獣館299の動物たち及びアザラシやミーアキャットの担当でした。具体的には、獣舎の清掃、餌の準備と給餌、動物の状態観察などをさせていただきました。実際に体験した感想は、止まる間もないくらいの忙しさで大変なものでした。そんな中でも1日目にご指導いただいた久保様には、現場の生きたお話をしていただきました。最も驚いたことは、道具についてです。動物園の動物たちが使っている道具には、飼育員の方の手作りがあることを皆さんはご存知でしょうか。例えば日本平動物園のシンボルでもある、レッサーパンダ。室内展示場にある木製の台は、手作りのものがあるそうです。そこには、普段からお世話をしている飼育員さんだからこそのこだわりと、愛情を感じました。そして、飼育員の方が動物にできることは無限大であることを再認識しました。

 2日目は、ホッキョクグマ、シロフクロウ、ハイエナまたインカアジサシやペリカン、クモザルなどのフライングメガドームの動物を担当させていただきました。仕事内容としては1日目とほぼ同じでしたが、ロッシーくん、バニラちゃんにおいては、繁殖生理の研究のため糞のサンプリングも行いました。中根様にはロッシーくん、バニラちゃんのハズバンダリートレーニングも見学させていただきました。ハズバンダリートレーニングとは、安全で健康的に飼育するために採血や検温等の健康管理、緊急時の治療や投薬がしやすい体勢をとることを覚えさせることで、実際のトレーニングでは差し出した棒に手を当てたり、合図で口を開けたりできたら、ご褒美を与えていました。私は、ハズバンダリートレーニングにもともと興味があり、実際に間近に見学でき大変感銘を受けました。

 3日目は、2日目と同じ動物を担当しました。3日目にご指導いただきました中村様には環境教育のお話をしていただき、大変勉強になりました。また、フライングメガドームでのイベントやハイエナのガイドを通じて来園者の方と動物との距離を近づけることで、レクリエーションや教育にもつながることを学びました。中村様のガイドは、動物をわかりやすく興味深く説明して、私自身もっと知りたいと思うガイドでした。私事ですが、中村様のガイドをお聞きして以来、インカアジサシのファンになりました。

 このように3日間、大変貴重な多くの経験をさせていただきました。また実習の中で先ほど述べた動物園の役割を再認識いたしました。私にとって動物園とは、これまでもこれからもかけがえのない憧れの地であることは変わりありません。ぜひ、機会がありましたら再び実習をさせていただきたいと切に願っております。お忙しい中、インターンシップを受け入れていただきましたことに心から感謝申し上げます。そして、ご指導くださいましたみなさま誠にありがとうございました。日本平動物園が大好きです。

(石原 美奈)

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