でっきぶらし(News Paper)

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秋の訪れとホッキョクグマのお嫁さんの来園

 秋がやってきました。夕暮れになると、動物園の植え込みの中から秋に鳴く虫の声が聞こえるこのごろです。草むらからはクツワムシ、木の上からはアオマツムシのにぎやかな声がひびいてきます。
 さて、オスのホッキョクグマ、ロッシーがやって来て3年、繁殖相手を探していましたが、いよいよ8月18日にタイのバンコクサファリワールドからメスのホッキョクグマがお嫁さんとしてやって来ました。彼女の誕生日は2009年2月10日で、タイ生まれの2歳半。来園時の体重は175Kg、体長約150cm、体高約95cmでまだあどけなさの残るホッキョクグマです。
 両親は、母親が1993年12月2日、ロシア・カザン動物園生まれで、1995年3月27日にタイにわたっています。父親は、カナダの野生個体で、1995年1月11日カナダからタイへ輸入されています。
 タイからサファリワールドのスタッフに付き添われ、保冷車で日本平動物園に到着したこのホッキョクグマは、猛獣館299のホッキョクグマ舎寝室に移されました。
 長旅の疲れも見せず元気そうな様子でしたが、やはり新しい飼育環境にすぐには慣れないのか、到着して数日しても部屋から部屋へは移ろうとしません。どうも各部屋をつなぐトンネル状の通路が気になるようです。飼育員さんは早く慣れてもらおうとあの手この手を考えます。ラジカセで音楽を聞かせる、通路にエサを置いておびき出すなどなど。しかし閉じこもった部屋の入口からちょうど体一つ分まで通路に出ますが、それ以上は進もうとしません。早く新居に慣れて、ロッシーとのお見合いが実現するといいですね。
 7月31日には、東京の江戸川区にある江戸川区自然動物園からベネットアカクビワラビーが来園しました。体重9kgちょっとのメスで、名前は「ルッコラ」です。オーストラリア南東部にすむアカクビワラビーのうち、タスマニアとその周辺の島にすむ亜種です。
 アカクビワラビーは、体色が茶褐色〜灰褐色で首のまわりの色が赤味を帯びているためこう呼ばれます。タスマニア島産のものは首のまわりの赤味はあまり目立たないようです。
 ワラビーとはカンガルーの仲間のうち比較的小型の種類の呼び名です。大型の種類はカンガルー、カンガルーとワラビーの中間の大きさのものをワラルーと呼んでいます。しかしこれら3つのグループの区分には、はっきりした基準はありません。
 ベネットアカクビワラビーはワラビーの仲間では一番大きな種類で、ジャンプ力もかなりあります。以前から飼育されているオグロワラビー舎の一画に新居が用意されることになりましたが、オグロワラビーより体格が良くジャンプ力のあるベネットアカクビワラビーに飛び越されないかちょっと心配なので、念のためフェンスの上にネットを張って脱出防止策にしました。
 お隣同士で飼育されている2頭のちがいを見くらべてみてください。
 中型サル舎で6月30日に生れたシシオザルの赤ちゃんの名前が公募で決定しました。
 名前は「ナデシコ」。ワールドカップで優勝した日本女子サッカーチームにちなんだ名前ですね。命名時点ではまだ性別不明ですが、おでこの黒い二本線が特徴で、かわいい中にりりしい顔立ちをした美形です。年配の人なら新撰組の沖田総司を連想するかもしれません。

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