でっきぶらし(News Paper)

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ムチャチャの小説

 その日の空は厚い雲に覆われ、終日太陽の光は見えなかった。足もとまで立ち込めた霧の様な雲と一緒に昼過ぎから降り出した雨は、薄闇に包まれた暮れ六つ(午後六時)を過ぎても止むことはなく、なおいっそう強くなり出したようだ。
 「今夜は止みそうにないね」
 軒を激しく打ち鳴らす雨音を聞きながら、娘がぽつりと言った。娘の名は夢茶々、駿河の国は駿府と清水にまたがる日本平の西側にある池田山のふもと、豊田村は弁天池のほとりに年老いた父親と二人で住んでいた。
 「こんな日は早く寝るに限る」
 そう言った父親は、すでに床につき寝息を立てている。薄くなった髪が父親の歳を物語っていた。夢茶々も明かりを消し、寝床に就くと、どこか遠くで雷の落ちた気がした。
 明け六つ(午前六時)頃だろうか、雨は小降りになった様で屋根に当たる雨音は小さくなっていた。だが、夢茶々は雨とは別の低く唸るような音に目が覚めた。寝床から起き上がり、まだ薄っすらとしか差し込まない朝日の中を戸口に近づき、家の前を見ると、道だったはずの場所は、赤茶色の土が混ざった川に変わっていた。
 「大変起きて!」
 蒼白の夢茶々は無我夢中で父親を起こしていた。
 川の源は隣の弁天池だった。堤からあふれ出た赤茶色の水は道沿いをうねるように流れ、夢茶々たちの家の前まで達していたのだ。隣村(ふれあい動物園)へと続く道は増水した水に沈んでいた。幸いなことに水辺の小屋に住む水守の若者(白鳥)は無事だった。夢茶々と父親に気づくと傍に近づいてほっとしたように座りこみ、濡れた服を乾かし始めた。しばらくして村人たちも集まり始めた。
 「水がひいたら道は直せばいい、皆が無事でよかった」
 村長が村民の無事を確認しほっとしたようだった。

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 こんにちは〜わたしムチャチャ、最近はやりの時代小説(大奥の二宮くんとか13人の刺客とか最高!)にチャレンジしてみました、出来ばえはどうかしら〜!え、三流、これでは食べていけない!・・失礼しちゃう、ふ〜んだ!、ところで私はだれかって?久しぶりの登場で覚えてないのも無理ないわね、実はオオアリクイの女の子、動物園の一番奥にある池のほとりに父親のジョッキーと一緒に住んでいるの(私に興味がある人はホームぺージから過去のでっきぶらし181〜187号を読んでね♡)、そう!小説の主人公は私なの。
 なんでこんなことになったかって?実はね、只今動物園は再整備の真っ最中、猛獣館299のオープンは記憶に新しいところだけど、今は水辺のフライングケージを園内に2つある池の下の池に建設中。そのため、工事完成までは、雨で上の池の水量が増えると下の池に流れないように、ポンプを使ってさらに下へと流してるのね。ところが先日、10月9日に想定外の雨が動物園周辺に降って、ついに明け方近くに池の周りの道が冠水しちゃったというわけなのよ。翌日しばらくの間は、上の池の周りを通行止めにして、水が引くまでの間お客様には迂回路を通ってもらうことに・・来園して下さった皆様にはご迷惑おかけしました。
 23年春には新しく水辺のフライングケージがオープン予定です。迫力ある鳥たちの姿を今まで以上に身近でご覧いただける日が待ち遠しいです。
 (池の由来:動物園に上下2つある池を総称して栗ヶ谷溜池、あるいは池田山堤といいます。池の東側に弁天堂と呼ばれる堂があったことから弁天池とも呼ばれます、この堤が複雑な形をしていることから他にも兜池と呼ばれ、上を兜堤、下を烏帽子堤と呼ばれたとあります。下の池は150年以上前天保年間、上の池は300年以上前に石川清互衛門が池田村民と協力して水田灌漑用に作ったものです。現在はその役目を終えて水鳥や多くの野鳥の楽園となっています)豊田村誌、東豊田郷土誌より

飼育担当 河村 茂保

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