でっきぶらし(News Paper)

« 156号の4ページへ156号の6ページへ »

アクシスジカの赤ちゃん ただいま人工保育中

 昨年の12月9日にアクシスジカのメスの赤ちゃん(愛称メグ)が生まれました。この赤ちゃんが生まれる10日程前に、同じお母さんがオスの赤ちゃんを産んでいます。残念ながらこのオスの赤ちゃんは、発育不良で死んでしまいました。開園してからこれだけ日がずれての出産は今までなかったそうです(最初は本当に同じお母さんから生まれたのか疑いを持たれましたが?)。

 メスの赤ちゃんも生まれてまもなくは前途多難でした。お母さんは、子供の濡れた体を一生懸命舐めて体温が下がらないようにとがんばっていたのですが、なかなか赤ちゃんが思うように反応してくれません。自力で立ち上がることができなければおっぱいを飲むことすらできません。とりあえず様子を見ながら観察していましたが、よい結果が得られそうもないと判断し、赤ちゃんを取り上げて人工保育することにしました。結果として取り上げて正解でした。もう少し判断が遅れていたらメスの赤ちゃんも死んでいたかもしれません(衰弱が激しく体温も非常に低下していた)。

 まず保育器の中に入れ、体温を上げることからはじまりました。保育器だけでは、なかなか体温が上がらないので、ドライヤーの温風をあてたり、タオルでからだを拭いてあげたりしました。徐々に体温が上がりだし、とりあえずは最初の危機は乗り越えました。次は、おっぱいを与えなければなりません。最初はネコ用のミルクを与えました。小型の哺乳びんに乳首を取り付け、口の中に入れてやりましたが、嫌がって吸い付きませんでした。しかたなく強制的にミルクを飲ませました(初乳を飲ませる事はとても大事なことです)。

 3日もすると自力で乳首を吸えるようになり、ミルクも牛乳に変更しました。1日4回哺乳し、今では700cc飲んでいます。哺乳ビンを見ると催促するまでになり、体重も4?sを超え、元気に育っています。天気の良い日には、運動不足解消と日光浴を兼ねて散歩に出かけ、担当者の足元をついて周り、楽しそうに過ごしています。もう少し暖かくなれば、お母さんと一緒に過せる日が来ると思います。その時は応援してあげて下さいね。
(佐野 彰彦)

« 156号の4ページへ156号の6ページへ »