でっきぶらし(News Paper)

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【ハ コ ガ メ 来 襲 】

 おもしろい話だからいつかデッキブラシに書こうと思っていたのですが、なかなか書く機会がなく(実は書くのがめんどくさかったというのが本音ですが…)今回いよいよ書くことにしました。だいぶ前の話ですが許して下さいね。

 僕がまだ子供動物園の担当だった頃の話です。昼間、仕事していると電話が鳴りました。出てみると「カメの事について問い合わせがあるけどいいかな?」と事務所からの電話です。聞いてみると某市役所の人からでした。「農家の人が山の中で歩いていたカメを拾ったのですがどうも日本のカメじゃないようです。その人は持ってきて疲れちゃったからいらないと言って置いていってしまいました。保育園の先生が飼いたいと言ってるのですが渡してもいいでしょうか?」というような内容でした。さすがにそれはまずいだろうと思い「どんなカメかわからないし、もしかしたら貴重な種類かもしれません。それに誰か逃がしてしまったものかも知れないので警察に持っていった方がいいと思いますよ。」といい電話を切りました。

 何日か経ちそんな話があったのも忘れて掛けた頃動物園の動物病院に用事があり入ると見たことのないカメがいました。「あれ?こんなカメいたかな〜」と思い聞いてみると、どこかの市役所が拾って
保護で来たんですよとの事。保護収容の紙を見てみるとどうも僕が話をした市役所から警察を通し来たみたいです。

 こんな事もあるんだなと思いつつ「このカメはどうします?」と聞てみました。すると、「まだ決まってないですよ。もしよければ子供動物園で飼いますか?」と言われたので、とりあえず子供動物園に戻り相談してみるとOKの返事が…。
 そうそう、そういえば肝心なこのカメの種類はというとなんとアメリカに住んでいるカロライナハコガメの中の1亜種ミツユビハコガメです。僕が電話対応をした人の言う通り日本のカメじゃなかったんですね。きっと飼っていた人が逃がしてしまったんでしょう。

 いろいろ調べてみるとワシントン条約附属書IIに指定されているうえに最近はアメリカの輸出制限が厳しくもうなかなか手に入らない種類のようです。餌は雑食性で繁殖を望まなければそんなに飼い方も難しくないような感じでした。
 そんなこんなで約1年半、子供動物園で飼育しました。途中冬に4ヶ月ぐらいエサを食べない時期がありましたが(もともと冬眠するカメなので寒いと代謝が落ちるようです。)特に問題もないよい子でした。
 しかし、とうとうお別れの時来てしまいました。僕が急きょ退職した人の代わりに動物園の病院の方へ移動になったのです。大事にしてねと言い残し僕は子供動物園を去っていきました。

 それから3ヶ月間、動物病院で働きいよいよ3年に一度の大幅担当替えの時期が来ました。
 ドキドキしなが発表を待つと僕の担当はペンギンに…そうすると爬虫類の人とコンビになります(爬虫類担当の人が休んだとき僕が爬虫類館にいる動物達を飼育する事になります。)ということはその人との交渉しだいでまたそのカメを爬虫類館で飼育することが出来ます。そして話してみると…あっさりOKの返事が出ました。
 そして今現在そのカメは爬虫類館の展示室で元気に暮らしています。やっぱりもとの飼い主の所に戻ってくる運命だったんですね。

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