でっきぶらし(News Paper)

« 129号の6ページへ129号の8ページへ »

あらかると 「スポットガイドにのぞんで」

 動物園では一昨年より、月1回日曜日にスポットガイドを行なってきました。これは、飼育係が自分の担当動物を20分程度来園者に説明するものです。
 内容は、本に載っているような一般的な説明の他、担当者ならではのその動物に関するエピソードなどを語り、写真パネルやクイズを織り交ぜながら理解してもらおうというものです。
 中でも人気があるのは、動物たちへの餌やりや獣舎の中へ入っての見学等、普段は決して経験することのないサービスです。 
 2年の間に私にも2回話す機会がありましたが、人前で話すことがこんなに大変だとは思いませんでした。元来が口下手の私も含めて、裏方の飼育係がそもそも表に出ることなどまずなかったのです。あそこでスポットガイドをやっているのでちょっと寄ってみてください。これだけ言うのにも勇気が必要なほどでした。それが、3、40人の前で話すなんて、とんでもないことです。 
 それでも、他の飼育係の方の時に呼びこみを何回かやっていくうちに慣れました。けれど問題は、自分の時のスポットガイド。リハーサルで来園者がいない時でも、あがって言葉につまってしまうほどでした。
 いざ本番にのぞんで来園者を前にすれば、のどはからからで目を何処へ向けていいのかもわかりません。話す声はやたら大きいだけで通りにくく、少し離れた人には聞き取りにくく散々な結果になってしまいました。
 それでも2回目は少しふっきれ、リハーサルでは軽口すらたたけたくらいです。本番もスムースに進み、少し余裕が出てきたところで、お客様の動き始めたのが気になって、少し笑いをと思ってギャグをとばしたのですが、これは全く受けませんでした。
 まだまだギャグを言うには早すぎたようです。後悔先に立たずとはこのことでしょう。勉強が足りません。
 でも、これから何回か順番が回ってきて話す機会が多くなれば、少しずつでも上手になっていくでしょう。来園者が理解し受入れやすいスポットガイドになってゆくと思います。長い目で見守ってください。
(池ヶ谷正志)

« 129号の6ページへ129号の8ページへ »