47号(1985年10月)13ページ
動物園こぼればなし◎つれション
オランウータンのジュンちゃん、散歩に出して貰うのをとっても楽しみにしています。当然のことながら、お客様の目に直接触れ、飼育係こと私に抱かれている姿は、思いの他かわいらしく見えるようです。
が、悩みのタネはオシッコです。ところかまわずとまではいきませんが、我慢できなくなると、抱かれたままでもジョンジョンジョンとやり始めます。馴れはしても、あの生暖かい感触は、決していいものではありません。以心伝心というか、ある程度繰り返すとこちらの気持ちがわかるようで、かなり我慢してくれるようになります。
そんなある日のこと、我慢し切れなかったのでしょう。いつもの遊び場から放飼場に戻る寸前、お客様が多勢見ている前でシャー。それを見ていたちっちゃな女の子も、一緒になってシャー。「あらまー、いやだこの子ったら。」とお母さんは付き合いのよさにあきれ顔。旅は道連れ、世は何とか、付き合いのいいのも、まあいいではありませんか。
(飼育課員 松下憲行)