でっきぶらし(News Paper)

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シロサイのはなし

 今年度からシロサイ担当になりました飼育員の高田です。よろしくお願いします。はじめに簡単にタロウの紹介をさせて下さい。タロウはオスで1982年生まれの43才、日本の動物園で飼育されているシロサイの中では最高齢です。人間の年で例えると80才を越えます。性格は穏やかで、餌を食べる事、身体をデッキブラシでブラッシングをしてもらうのが大好きです。今回はタロウを通じて簡単にシロサイの紹介をしていきたいと思います。 

シロサイは野生下では約70%が南アフリカ共和国に生息しています。タロウもその血を引いています。
シロサイには主に4つの特徴があります。①は皮膚です。シロサイの皮膚の厚さは約3cmから厚い場所で5cmあります。人間の皮膚が約2mmと言われているのでどれだけ厚いか分かると思います。また皮膚がとても硬いので例えば果物ナイフで刺してもナイフが折れてしまいます。もちろん刺すなんてことはありませんが・・・。

②は耳と鼻です。実はシロサイは眼があまりよく見えません。また本来シロサイは10頭ぐらいの群れで行動する動物なので、耳をぐるぐる回し、匂いで仲間の位置を嗅ぎ分けています。タロウも名前を呼ぶと耳がぐるぐる動く様子を見せてくれるかもしれません。
③は平たい口です。シロサイの口は平たく幅が広いのが特徴です。シロサイの名前の由来は、現地語で幅広い意味ワイド(WIDE)を英語でホワイト(WHITE)と誤解したことが由来と言われています。サイの仲間は5種類ですが平たい口はシロサイだけです。みなさんが知っているクロサイや、インドサイは口が三角になっています。シロサイは草原に生えている地面の草を食べるため口が平たく発達しました。反対にクロサイ、インドサイは木の上に生えている葉っぱを食べるため口が三角に発達しています。シロサイのガイドでタロウの口の中に、飼育員が直接手で餌をあげますが痛くはありません。シロサイは前歯が無く、奥歯で餌をすり潰しているからです。

④は立派な角です。シロサイは2本の角を持っています。タロウも角を木や放飼場の鉄柱で研いでいます。ただ野生下ではこの角を狙って年間200頭から300頭ものシロサイが殺されています。シロサイの角は何千万円という高額で取引されるといわれています。約2年前、日本平動物園でも展示してあった角が盗難にあいました。角はアジアでは薬として使用され、中東では剣の宝飾などに使用されています。シロサイの角は骨に見えますが、実は人間の髪の毛や爪と同じ成分のケラチンというタンパク質が束になって出来ています。もちろん薬としての効果はありません。

このような説明をお昼の餌やりのガイドで話していますが、それ以外にも餌の内容、野生下でのシロサイの現状、保護活動の取り組みなどをガイドしていますので、日本平動物園に来園した時はぜひ聞いてみてください。  

(高田)               

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