でっきぶらし(News Paper)

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41号(1984年10月)5ページ

爬虫類館10年 その2 ゴキブリに巣食われたゾウガメ

 カメには、どうも水棲のイメージがつきまとうようです。ゾウガメは陸ガメ、したがってプールは不要なのですが、「水がなくてかわいそう」そんなことを言われるお客様がちょくちょくいるそうです。とんだ誤解ですが、本当の姿を知って貰う難しさを感じさせるひとコマです。
 かつて、そのゾウガメ舎に4本の足がほとんど利かなくなってしまうほど、力の衰えたゾウガメがいました。元々弱かったのが、次第次第に衰えて餌を食べるのもままらならないぐらいでした。
 そんな弱さを見透かし、なめてかかったのがゴキブリです。ある日、あまりに動きが鈍く弱くなったので、お腹の方の甲羅を調べると、ゴキブリの子がうじゃうじゃ。しかもなんと弱った足を餌にしていたのです。7ヶ所も食べられた跡があったと言います。
 ここまでくれば、命は風前の灯。それから2ヶ月ぐらい後、介護も空しく、あの手この手の万策も尽きた頃、静かに息を引き取ってゆきました。

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