でっきぶらし(News Paper)

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39号(1984年06月)8ページ

昭和58年度 動物園の1年 後編 3月

アクシスジカの膣脱・モモンガの保護・他
 出産は命掛け、そう思われる事例に、時に出会うことがあります。アクシスジカの場合、出産してしばらく経って膣が体の外へでてしまう、そんなひどいめにあうことから。1度は麻酔で眠らせ、獣医の手で体の中に押し込められたのですが、数日経つとまた体の外へ。その時はすでにえそを起こしており、仕方なく切り落とされたのですが、それが元で数日後に死亡してしまいました。結果的には“親子もろとも”となり、子だくさん一家も少々寂しくなりました。
 どうも、名前がよくなかったようです。先月来、体調を崩していたクモザルのカヨが逝きました。もっとも解剖してみれば、歯はすりへってすでになく、内臓には老齢を窺わせる病変があちこちにあった、と言うことです。何のことはありません。テナガザルに替わって飼育される時で、すでに相当のおばあさんだったのです。 
 月末になって、開園以来初めてモモンガの保護がありました。まだ眼も開かず、手の中にすっぽり隠れてしまう程の小さな赤ちゃん。かわいらしさと、無事に育つかどうかの不安が交錯しました。が、とにかくミルクを飲ませること。その日より獣医の手によって人工哺育が始まりました。
 2頭のうち、1頭はしばらく下痢が続き、駄目かと思うこともあったそうですが、何とか無事に育てられました。
 3月は、これといった出産はなく、せいぜいジャワオオコウモリが2頭生まれた程度でした。他、アシカが早産、これは残念なことをしました。

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