「ＺＯＯしずおか」の写真係のひとりとして、一番撮りにくい写真はといわれれば、私は人物の写真をあげたいと思います。
　編集者より顔写真を一枚頼むといわれて撮る相手が俗にいう偉い人。これだけでもう充分なプレッシャー。重い腰をあげ撮影にかかるまで、かなりの時間を要します。
　さて、撮影時間。ある本に、被写体となるべき人が、写真家を信頼し全て任せリラックスしたなら撮れたも同然、と書くには書いてありました。が、私にとってはそれは至難の技です。
　話上手なら、その人が好きそうな話題を取り上げたりして、多少の信頼は得られるでしょう。しかし、人見知り、口下手、無愛想な私に、とてもそんな芸当はできません。
　結局、できあがるのは運転免許証の顔写真のようになってしまい、被写体になって頂いた方に申し訳が立ちません。これは、ひとえに私の責任です。
　三十八年も背負ってきた、この人見知り、口下手、無愛想の性格はもう直りません。私は、人物写真を撮るには不向きです。そんな仕事は、なるべく、なるべく、他の人に回して下さい。お願いしますよ、ほんと!!
（池ヶ谷正志）