でっきぶらし(News Paper)

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54号(1986年11月)5ページ

レンズから見た動物達【アップを撮るのにあっぷあっぷ】

 「ZOOしずおか」の写真特集に、毎回ゝ何を載せようかと、ずいぶん苦労しているようです。そこで記事のまとめに責任を持つ身として、ちょっとアドバイスしたのがケガ!?の元。
 動物の“各部分”をアップで撮れば面白いのではないかと提案したのですが、考えてみれば、そうなると記録係ばかりに任せてはいられません。及ばずとも、私も協力せざるを得ない破目になってしまったのです。
 まずは、担当のオグロワラビーから。人工哺育で育てられ、充分に人慣れ!?している「ヒロ」をマークし、レンズを向けたのですが、何せ“鼻”だけを撮ろうというのですから、超ド接近。その内に「シュー、シュー」と警戒とも警告ともいうべき声を出し始めました。
 この声を出した時は、要注意なのです。一定の距離を開けないと、飛びかかってくるからです。しばらくして収まるとまた接近。こんなことの繰り返しでした。
 記録係だけに任せられない理由が、お分かり頂けたでしょう。動物の表情や動作を探りながら超ドアップで撮るには、その動物の担当者か、それに近い立場、代番者でもない限り、かなり無理な注文だからです。
 ふだん非常におとなしいアクシスジカにしても、鼻先七〜八十センチにまでレンズを向けた時には、さすがに不愉快そうな表情を示しました。近づき過ぎると、警告ともいうべき動作、前足をトン、トン、トンとすることも。そんな時は、さすがにちょっぴりながら恐さを感じさせました。
 ゴリラのトト(メス)に至っては、最初の二〜三枚こそ素直に撮らせてくれたものの、その内レンズを覗き込むやら、突っつくやらで、挙句にムキになる私をからかうように逃げ出す始末でした。
 いやはや、大変だと承知していたものの、とんだ悪戦苦闘を強いられました。こんな苦労がどんな結実を見せてくれるのでしょうか。何はともあれ、いずれ「ZOOしずおか」に掲載されるでしょうから、それをお楽しみに。

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