でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 54号の3ページへ54号の5ページへ »

54号(1986年11月)4ページ

レンズから見た動物達【ペリカンの区別】

 皆さん、ペリカンが飼育係とお客様をちゃんと区別しているのを知っていますか。「ZOOしずおか」の編集者の依頼、アップの写真が欲しいというのを気軽に受けたことが、それを思い知る始まりです。
 冬になると、クモザルの島の前の日当たりのよい陸地に上がっていることが多く、簡単に撮れると考えていました。ところが、カメラを構えるといつもと全く違う態度。私を意識してうろうろ歩き回り始め、その内に池へドボン。
 これでは、アップを撮るどころではありません。どうもこの飼育係の作業服と長靴がよくなかったように思え、次の日にはヤッケとスニーカーで容姿を変えてみました。が、結果は全く同じでした。
 やや諦めかかった頃の日曜日、クモザルの島の前でお客様が大勢集まり、ワイワイガヤガヤとばかりに賑やかです。何事かと思い覗きにゆくと、ペリカンが日光浴をしていたのです。しかも、お客様が手をのばせば届くようなところで悠然としていたのです。
 お客様がカメラを構えても平気。落ち着き浮チて羽根の手入れなどをしています。逃げる様子のないのを確認して、私は急ぎカメラを取りに戻りました。お客様に紛れ込んで撮ることを思いついたのです。この方法で、かつ望遠で構え、ようやくアップで撮ることができました。
 私はペリカンの担当者でも代番者でもありません。が、彼等がお客様と飼育係をちゃんと区別しているのには、いささか驚きでした。声や足音等も判断材料でしょうが、何といっても、時々ながら顔を合わせることが、大きな比重を占めているように思えます。
 ちなみに、タンチョウ、ノガン、ダチョウ等もはっきりと区別するようです。まさか、あなたは飼育係の誰それとまでは、区別してはいないでしょうが…。
(池ヶ谷正志)

« 54号の3ページへ54号の5ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ