でっきぶらし(News Paper)

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97号(1994年01月)8ページ

人工哺育 その個体を追う(その2)★ヒツジ、より人懐っこくなって

母子の絆って強いようなもろいような、何かあってちょっとの間母親と分けておくだけでプツンと切れてしまうことは、言う程珍しいことでもありません。ヒツジの場合も正しくそうで、子の脚が悪いか何かして一夜だけ別々にすると、母子の縁はハイそれまでよ、になってしまったのです。
家畜は人に飼い馴らされてきた歴史を持つだけに、元々人懐っこさがあります。それが人工哺育されるとどうなるでしょう。どうしようもない甘ったれを想像してしまいます。
父が白で母も白の毛から白と黒の毛の子が生まれるなんて、昔に習ったメンデルの遺伝の法曹?つい思い出してしまいますが、白い毛の個体が人工哺育で黒いほうは自然保育と見分けるのには好都合でした。
担当者であろうと、代番者であろうと、更にその次に補佐する者であろうと、又、全く面識のないお客様に対してであろうと、ヒトを見ればすぐにそばへ寄ってゆくのが白毛、黒毛は一定の距離を例え餌が目の前にあっても保とうとします。触ろうとすれば、すうっと体をかわします。
当然、みんなに可愛がってもらうのは白毛のほうです。誰かれなしにそばに寄っていって触られて喜ぶのは、人工哺育の影響がまざまざ。これが野生動物なら、しかめっ面をしない訳にはゆきません。
理由は、今までに何度も述べているように単純明快です。自らをヒトと勘違いされては困るのです。自分の仲間としっかり付き合って欲しいのです。その為にはキーパー嫌いになってくれてもいいのです。
でも、ヒツジの間違いの行動は、子供動物園の性格を考えると少なからず好都合です。お客様の大半はペットを見る感覚で接してこられますし、その役割を担っているのが子供動物園なのですから。白毛、地味ながら隠れたスターとしての要素をじわじわ確立しつつあります。

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