でっきぶらし(News Paper)

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84号(1991年11月)7ページ

あらかると【新獣舎完成 シロウ移動】

 83号でお話したように新しいキリン舎を新築中でしたが、昨年12月初めに獣舎のみが完成しました。これに伴ない、シロウを新獣舎へ移すことになったのですが、遠々3時間も要してやっと移すことができました。
 数日前から木の葉を食べさせ、それを私が持って歩くのについてくるようにさせていました。移動前日にはにつも与えている餌を抜き、相当な空腹状態にしておきました。
 当日午後4時、枝を持ち立つのですが、今まですぐに食べていたのにこようとしません。全然違う場所であるので、ちょこっと葉を食べては戻っていってしまいます。
1時間もすると、さすがに空腹には勝てないようで葉を食べ始めました。シロウが食べている時、少しずつ後さずりしてゆくのですが、動くと戻ってしまいなかなか新獣舎には進みません。
 放飼場の土もやわらかく、足が埋もれてしまうのにも警戒しているようでした。そうこうしている内に日が暮れ、新しい獣舎の灯しか見えなくなりました。周囲の人影もなくなりました。
 私とシロウだけになって「シロウ、大丈夫だよ。こっちにおいでよ」と数多く語りかける内、部屋の中に足を1歩唐ン入れたところで、シロウの後ろに素早く回り込みました。そして、お尻のところで大声を張り上げて警かせると部屋へ一目散。で、入り口のマセン棒を急いでかけ収容しました。この時、7時を過ぎていました。
シロウは相当にお腹が空いていたようで、餌箱に入れた餌は一気に食べてしまいました。が、食べ終わると不安そうに部屋の中をうろうろ。その夜は座らず立ったまま過ごしたに違いありません。
 その後数日は部屋に馴らす為に入れ放しにしましたが、次第に落ちついてきていつものように柵をなめ始めました。
 新しい獣舎を紹介します。部屋は3つあり、2つは床が土でもう1つの部屋はフロアヒーターが入ったコンクリートの床です。出産と治療ができるように追い込みの柵がついた構造になっています。
 他は、旧獣舎のように中2階のところで餌を与えられるようになっており、水飲み場は隅に設けられています。部屋と部屋を行き来できる扉もついています。
 天井は今までよりも2mぐらい高い為、冬場は少々寒いかもしれません。放飼場も以前より広いので、行動範囲が広がりのびのびできるかもしれません。私にとっては掃除が少しばかり大変になりそうです。
 新しい獣舎ができて、後はシロウの嫁さんを待つばかりです。次回は、そのお嫁さんについてお話したいと思います。
(佐野一成)

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