でっきぶらし(News Paper)

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51号(1986年05月)6ページ

動物園の一年(後編)◎一月 揺れるフルーツコウモリの飼育、トラの死

観客に飛ぶコウモリの姿を見せたいということで飼育され始めたのが、今までよりもうんと小型のルーセットフルーツコウモリです。隅っこに固まってしまえば、何処にいるだか分からない存在も、飛んでいる姿はなかなか魅惑的でした。
しかし、小型だということは、それだけ弱いということです。春先から口火を切った繁殖も死亡率が高く、かつ親の死もかなり見られました。特に一月はそんな出来事が集中し、三日には死んだ母親の乳首に子がいつまでも吸いついているという、全ての出来事を象窒キるような死亡事故がありました。
ルーセットコウモリの飼育が、完全に軌道にのるまでには、まだまだかなりの年・月を要しそうです。
繁殖日本一のかけ声をもらうトラのカズにも老いの兆しが―。三十八頭目は、空しく死産に終わってしまいました。それだけでなく、最近のカズの出産状況を見ると、決して芳しいものではありません。
今回のは、そんな中でも最も衝撃的で、カズの命すらも危くするところでした。獣医日誌をめくり、その記載を見ると―。
「二十一日。ベンガルトラの陰部より出血が認められ、夕方陣痛が見られた。しかしなかなか子の姿は見られず、その内胎盤がはく離し、娩出された。その為、麻酔し、陰部より手をいれてみると、頭が側転していた。整復し摘出したが、子はすでに死亡していた。雌親には子宮洗浄を行い、抗生剤の投与を行なった」との筆記事項があります。カズはまだその難産から回復しきってはいません。
「お前、やたら誰に彼にもつっかかっていくんじゃないぞ。」そう語りかけたくなる相手はコクチョウです。全くどうしようもない程向こうっ気が強く、その為に寿命を縮めています。
十二日にまたしても何者かに殺されたのです。タヌキや野良ネコがやってきても、池の中に逃げ込めば安全なのに、なまじ向かっていったばかりにやられてしまったとしか、考えようがありません。
十五日には、その池の冬の来訪者たちのカウントが行われました。マガモ四百二十七羽、コガモ百五十一羽、カルガモ五十羽、ヒドリガモ二十一羽、オナガガモ一羽、ハシビロガモ一羽の六種、六百五十一羽でした。彼ら、この池にはアホウな鳥がいると噂していたかもしれません。

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