でっきぶらし(News Paper)

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264号(2022年02月)4ページ

「11月29日は…?」

突然ですが、クイズです!11月29日は何の日でしょうか?「いい肉の日」?いえいえ、何の語呂合わせにもなっていませんが、11月29日は「世界アリクイの日」です。

世界アリクイの日は何をする日なのかというと、アリクイのことをみなさんに知ってもらおう!という日です。当園ではオオアリクイを飼育しているため、ガイドやクイズなどのイベントを実施しました。新型コロナウイルスの感染者が減っている時期だったため、感染対策をしながらイベントを実施することができました。中でもお客さんから好評だったイベントは「はじめてのおやつのプレゼント」です。雄のフジオと雌のヒナが、はじめて与えるおやつにどんな反応をするのかを観察するイベントです。

土日の2日間実施し、初日は巣蜜(巣入りのハチミツ)、2日目にアボカドペーストを与えました。どんな反応をするのか、楽しみにしながら与えましたが、初日は恐れていた事態に!まず、ヒナの前に巣蜜を乗せたお皿を差し出してみると…においを少しかいだだけで、プイッと全く見向きもしなくなってしまいました。

食べないかもしれないな~とは思っていましたが、担当者が予想していた、ちょっと舐めてみたり、爪でいじったりというような行動は全く見られませんでした。

オオアリクイは口がほとんど開かないため、動物の中でも表情が変わりづらく、お客さんから見たら、ほぼ無反応…

しかし、たくさんのお客さんが期待に満ちた目でこちらを見ているのに、「全く食べませんでした!はい、終わりで~す。」なんて言えません…担当者は慎重な性格のため、実はそんなこともあろうかと、念のため秘密兵器のヨーグルトを準備していました。ヨーグルトは毎日与えているおやつで、オオアリクイの大好物です。巣蜜にヨーグルトをかけると…今まで全く興味を示さなかったのに、すぐにおいしそうに食べ始めました!やれやれとほっとしましたが、冷たいヨーグルトで固まった巣蜜を避け、ヨーグルトだけ完食(笑)。フジオも全く同じように、ヨーグルトだけをすぐに完食しました。

オオアリクイには歯がなく、野生ではアリを長い舌でからめとって食べています。アリを食べたことがある方は少ないかもしれませんが、アリには蟻酸という成分が含まれているため、食べるとすっぱい味がします。オオアリクイはとてもすっぱいオレンジも大好物なので、あまり甘いものは好きではないかもしれませんね。長い舌を器用に使って、巣蜜(ほぼヨーグルト)を食べる姿をご覧いただけで、お客さんにも喜んでもらうことができました。

残った巣蜜はお客さんには見なかったことにしてもらって、温かい夕ごはんに少量ずつ、誤魔化しながら入れたら食べてくれました。

2日目のアボカドは、また食べないのでは?と警戒していましたが、フジオもヒナもニオイをかぐとあっけなく食べ始めました。初日とは打って変わって、全く躊躇せずに食べ始めたため、担当者もビックリ!気に入ったようで、あっという間に完食してしまいました。アボカドは今後もおやつに与えようと思います。

このようなイベントは、みなさんに楽しんでもらうことももちろんですが、実はオオアリクイに興味を持ってもらったり、情報発信することを目的にしています。

オオアリクイは絶滅危惧種です。野生では5000頭ほどとされていますが、森の中に住んでいて調査が難しいため、実際はもっとずっと少ないかもしれません。主な原因は生息地の森林伐採や開発です。遠い国の森林伐採なんて、私たちには関係ないでしょ!と思われるかもしれませんが、私たちが使っている紙は遠い国から輸入されてきているものも多いのです。

私たち一人一人が無駄遣いをしないように心掛けなければ、オオアリクイは近い将来に絶滅してしまうかもしれません。
世界アリクイの日のイベントや、この「でっきぶらし」を通じて、オオアリクイに関心を持ってもらえたり、無駄遣いしないようにしよう!と思ってもらえたらうれしいです。

感染者がいなくなり、このようなイベントを気兼ねなく実施できる日が早く来ることを祈っています。

(江林 奏絵)

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