でっきぶらし(News Paper)

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263号(2021年12月)4ページ

50の手習い

 今年53歳になり、動物園で13年目を迎え新しい試みを始めた飼育員です。試みなどというとどんな凄いことを始めたのかと思われるかもしれませんが、飼育の仕事をやりつつ動物園内の営繕業務(園内で使用するものを作ったり、破損した所を直したりする仕事)を並行しながら始めたということです。営繕の仕事は、以前からやってみたいということは伝えていました。それというのも、長い間営繕の仕事をされ、定年退職した後も動物園のために引き続き働いている方がいるのですが(言わば私の師匠)、その方が後継者もなく突然動物園を去られたら…飼育業務にも差し支えるようになります。その様に考え、始めさせてもらうことになりました。

 そして、今年の4月から2足のわらじ的なことが始まりました。とはいうものの、飼育員を増員してもらったわけではないので、営繕業務に重きを置くことはなかなか難しいですが、他の飼育員さんたちの協力もあり、日によって差はありますが1日1~2時間程営繕業務に従事できるようになりました。いざ始めてみると、そうそう上手く事は進まないものです。師匠に色々と教わりながら四苦八苦して仕事をしています。

 例えば、木材で台を作ろうとします。自分なりに作り始めると、師匠から「その部分より違うところからの方が作りやすいよ」と教えてもらいます。何事にも順序だてがあるのと同じで、小さなものだろうと大きなものだろうと作る時には、やりやすい方法があります。やること全てを変える必要はないと思いますが、この歳になっても覚えることは沢山あるということです。今までは飼育の仕事だけしていれば、色々と作っていただけました。そのことに改めて感謝しています。

 自分は飼育業務に10年以上携わってきていて、今も続けているわけですから、営繕業務にプラスになることは多いかと思います。今まで営繕の仕事をされてきた方々で飼育員経験者はいません。日本平動物園の動物たちに少しでもいい環境で過ごしてもらうために、師匠から色々なことを学び、吸収していきたいと思っています。皆さんが日本平動物園に足を運んでいただいた際、手作り感満載のものがあったなら、私が作ったものかもしれないので、どうか温かい目で見ていただければ幸いです。また新しくお伝えすることがありましたら、報告させていただきますので、よろしくお願いします。
                                               
(児玉 賢之)

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