でっきぶらし(News Paper)

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257号(2020年12月)5ページ

病院だより

 皆さんはじめまして!今年の4月から日本平動物園の飼育員になった新人飼育員の堀と申します。どうぞよろしくお願いします。私は園内にある動物病院の飼育を担当しています。気付けば飼育員になって半年以上が経ちました。毎日、個性豊かな動物たちに揉まれながら楽しく働いています。さて今回は、とある入院動物を紹介したいと思います。

 8月31日に2羽のフンボルトペンギンが入院することになりました。名前はクールとシンタで、どちらもメスです。クールは少し前に伸びすぎた嘴を削ってから、採食しなくなり入院。シンタは口を開けてハアハアと開口呼吸するため入院となりました。それぞれ採食具合を見たかったのでシンタは冷房設備のある1階に、クールは2階に1羽ずつ飼育し投薬をしながら様子を見ることになりました。人間の場合「1回1錠を朝夕食後に飲んでくださいね~」と言えばいいのですが、動物の場合そうはいきません。なのでよく食べる餌にこっそり入れるようにしています。ペンギンの場合は餌のアジのエラに薬を入れてあとはそのアジ食べて貰えば投薬OKなのですが、2羽とも環境が変わったこともあり全く食べてくれませんでした。餌を全く食べないわけにはいきませんし、投薬もできないので強制給餌することになりました。やり方としては、獣医さんがペンギンを抑えながら嘴を開きます。そこに私が飲み込みやすいように半分に切った薬入りのアジを口の中に押し込んで食べて貰います。ペンギンの翼はフリッパーといい、泳ぐときにオールの役割も果たすので当たると強烈なビンタ並みに痛いです。(まあそのビンタの殆どは抑えてくれる獣医さんに当たるのですが…)2人がかりで行わなくてはいけないこの作業を、1日最低でも2回は行っていたので結構大変でした。

 入院から一週間後、ついにクールが自分で食べてくれるようになりました!これでクールの採食問題は無事クリアです。一方でシンタは相変わらず食べてくれず、低い声で寂しそうに「ファ~ファ~」とよく鳴いていました。担当の飼育員さんよると、シンタにはミールというペアのオスがいて、常に一緒に行動していたそうです。おそらくミールを探して鳴いているのでは?と教えてくれました。ちなみにクールにも一応青木さんというペアのオスがいるそうですが、どちらも好奇心旺盛な性格で、私たちは常に一緒!というよりもお互いに好きなことをしているタイプのカップルだそうです。ペンギンにも色々なカップルがいるんだなと感心してしまいました。

 もちろん強制給餌のストレスなどを考えると自分で食べてもらうのが一番です。(強制給餌をする人間も大変ですし…)そこで特に健康状態に問題はありませんでしたが、シンタの自力採食のために旦那さんのミールに病院に来て貰いました。ミールが来てからシンタは殆ど鳴かなくなり、ソーシャルディスタンス無視でイチャイチャしていました。やっぱり寂しかったんだねシンタ!しかしミールが来ても残念ながらシンタは食べてはくれず…。結局、強制給餌は退院するまで続きました。

 9月10日に採食も戻った為、一足はやくクールが退院していきました。そしてシンタも開口呼吸しなくなったのと、いつもいた環境のペンギン館の方が自力採食するのでは?ということで9月14日にシンタもミールと一緒のケージに入って、仲良く退院していきました。退院してから獣医さんと一緒に採食の確認に行きましたが、ほかのペンギンたちに混ざって飼育員さんの投げたアジを水中で元気にキャッチしていました。よかった!

 ペンギン館に来たときは、ぜひクールとシンタとミールを探してみてください。クールが左の翼に青と白の翼帯、シンタが右に赤と黄色の翼帯、ミールが左に青の翼帯を付けています。

(堀 友香)

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