でっきぶらし(News Paper)

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257号(2020年12月)6ページ

実習生便り

 私は、9月4日から7日まで日本平動物園で飼育実習をさせて頂きました。4日間のうち、初日と最終日は主にサイとチンパンジー、2日目と3日目は主に小型サル、ワラビーの飼育実習を行いました。担当して頂いた4名の飼育員の方には、つきっきりで仕事を教えていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

 初日は台風のため、動物園は休園となり、実習も半日になりました。もちろん休園であっても動物たちのお世話は欠かせないため、まずはアクシスジカの所で掃除を行いました。シカは、見知らぬ人や複数人で人がいると恐怖でストレスがかかってしまうことが分かりました。掃除は丁寧であると同時に素早く行い、動物にストレスを与えないようにすることも重要だと感じました。チンパンジー舎では、掃除とげんき君に餌をあげました。げんきに足をつかまれたときは、想像より握る力が強く、同じ年の人間の赤ちゃんでは考えられない力だと感じました。

 2日目の小型サル舎では、餌に与えるミルワームの作業があり、箱の中に無数のミルワームを見たときは少し寒気を感じました。しかし、慣れとは怖いもので、案外楽に触れることができよかったと思いました。オランウータン舎ではジュン君にヨーグルトとミルクをあげました。ジュン君は、とてもお利口で檻を開けるとちゃんと自分から入り、ヨーグルトやミルクも初対面の人の手から受け取ってくれました。チンパンジーは、近づくだけでも威嚇したり、唾を吐いたりするので、人に対してこれだけ態度が違うことに驚きました。同じ類人猿でもこの違いがあるのはなぜだろうと疑問に思いました。

 3日目は、同じく小型サル舎で主に実習しましたが、途中でパネルの交換と夜の動物園で使う電飾のテストを行いました。飼育以外のお仕事を体験することができ、貴重な経験でした。その後、ワラビーの口腔内をチェックする様子を見学しました。(動物をお客さんが見える所で保定する際は、悪い印象を与えないようにする必要があると分かりました。)

 4日目は、アクシスジカ、シロサイ、マレーバク、チンパンジーがいる各所へ移動し、掃除や餌やりを繰り返したので大変でした。普段は、この作業を1人でやっていることにとても驚きました。掃除や餌やりは、ただ作業としてこなすのではなく、汚れ具合や食べた量から動物たちの様態を確認する必要があります。そうした観察眼を持つと同時に時間に追われないよう素早く行うことも大切であると感じました。また、担当の井上さんはその間に会議に参加されていたので、飼育員の大変さをよく感じ取れました。

 4日間を通じて、普段見ることのできない動物たちを間近で、飼育をする場から見ることが出来ました。また、担当して頂いた方々から動物園の経営など様々なことをお話して頂き、とても勉強になりました。今回の実習を通じて、今後の進路を考える良い機会となりました。また、大学での勉強や実習がいかに重要であるかを感じ取れました。4日間という短い期間でしたが、お世話になりました。ありがとうございました。

(2019年9月 増田美穂) 

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