でっきぶらし(News Paper)

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257号(2020年12月)2ページ

新担当者vsアカテタマリン一家

 新?小型サル舎の担当です。「新?」なのは4年前に小型サル舎の副担当をしていたからです。ですが、当時とサルたちの顔ぶれも結構変わっているのでほぼ新人と同じ。サルたちの顔を覚えるところから始めました。

 そして先日、担当者の見分けが不完全な中行われたアカテタマリンの捕獲作業。今回の目的は、年下の4頭の子供たちの性判別とマイクロチップの挿入、体重測定です。当園のアカテタマリンは両親と子供たちの全9頭の群れで暮らしています。両親は体が大きく、末の双子は体が小さいのでわかりやすいのですが、兄3頭と捕獲対象の2頭の見分けがなかなかの高難度。全く狙い通り捕獲できる自信がなかったのですが、当日は獣医さんが気を利かせて前担当者をスペシャルアドバイザーとして連れてきてくれました。

 アカテタマリンに限らず、タマリン、マーモセットの仲間はサルの中でもとりわけ家族愛が強いことが知られています。野生下では大人ですら体重500g程の小さな体で生き残るために必要なこの家族愛は、飼育下では捕獲作業の時に最も発揮されると言ってもいいでしょう。彼らは家族一丸となって立ち向かいます。子供を連れ去る悪い飼育員と獣医に。そして子供を捕獲したタモを破って救出しようと噛みついてきます。小さな体の割になかなかの気迫です。去年まで担当していた中型サル(ニホンザル、マンドリル、ブラッザグエノン、アビシニアコロブス、シシオザル)よりも怖いくらいですね。中型サルたち、特にブラッザグエノンとアビシニアコロブスは捕獲しても立ち向かってこないので。

 両親と兄達の妨害をかいくぐり、最初に狙うのは今年の6月生まれの末っ子双子です(アカテタマリンは一回の出産でほとんどの場合2頭生みます)。というのもこの双子の片方は生まれつきしっぽが短いため、すぐわかるからです。あとこの子はものすごく甘えん坊ですぐ鳴くし、ちょっとどんくさいんです。無事捕獲した後は、マイクロチップリーダーでマイクロチップが入ってない個体であることを確認して、太い注射器みたいな器具でマイクロチップを首の後ろの皮の下に挿入します。人間に使うにしても太すぎるくらいの針なので、アカテタマリンの大きさでその針の太さはかなり痛いだろうな…と少し心を痛める飼育員です。

 マイクロチップの挿入、性判別、体重測定を終えた子は未処置の子と混ざらないように、屋外の部屋にリリースします(捕獲は屋内と屋外の部屋を仕切って行います)。そこでまた一悶着。タモから出そうとする飼育員vsなぜかタモにしがみつくアカテタマリン&タモの中の個体を救出しようと飼育員に立ち向かう兄(今回の処置に関係ないので最初から屋外に隔離していました)。リリースするだけなのにてこずります。「だから返すって言ってるじゃん!」(この時飼育員が実際に言っていたセリフ)

 こんな感じで無事4頭の処置が終わりました。性判別と体重の結果は今年6月生まれの双子が共にメスで200g、昨年12月生まれの双子がメスとオスで共に350gでした。まだまだ大きくなりそうですね。

 捕獲作業の後は、警戒してよそよそしいアカテタマリン達と仲直りするために毎日手渡しでおやつをあげています。小さくてもサルなので、やられた事を結構根に持って覚えています。飼育員に対しても警戒心が強いようだと、もしもの時(投薬など)に困るので早く仲直りできるようにがんばります。                     

(増田 知美)

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