でっきぶらし(News Paper)

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255号(2020年08月)1ページ

動物園臨時休園中は?

 最近はとても暑くなってきてすっかり夏の気温になってきました。動物たちも急に暑くなってしまったので、ぐったりしている子たちも多いようです。飼育員たちにとっても暑くてつらい季節がやってきています。

 一番気候が良く、皆さんにとってもおでかけ日和だった4月と5月は、新型コロナウイルスの影響で自粛期間となっていました。日本平動物園も4月18日~5月31日まで臨時休園となっていました。昨年、50周年を迎えた当園ですが50年の歴史のなかでもこのような長い期間の休園は初めてで、飼育員たちも少し違和感がありました。

 毎週月曜日の休園日は、休園中にしかできない点検や獣舎の整備などをしています。当園では来園者の皆さんの安全を考え、開園中の車両の通行は極力控えているので、休園日は工事車両が入ったり、車を使って様々な物資を運んだりしています。休園期間中にしかできない作業に没頭する中で、やはり皆さんの声がない毎日、静まり返った動物園は本当に寂しく、複雑な気持ちになりました。

 動物たちは、来園者がいらっしゃるとなかなかできないことをしていたようで、フライングメガドームの鳥たちは、普段あまり乗っていない人用のデッキでゆっくりしていました。一方、警戒心の強い動物たちはいつもよりも柵の近くでリラックスしているように見えました。また、まだ子どものチンパンジーのげんきや来園者が大好きなジャガーの小梅などは、来園者がいないと寂しかったようで、飼育員を見つけるたびにいままで以上に追いかけて構ってもらおうとしていました。しかし、リラックスを通り越して退屈していないか、運動不足になってしまっていないか、注意して観察しました。野生動物たちは本来、常に餌を探していたり、他の動物への警戒をするものです。動物園でも餌を隠す、おもちゃを置くなど動物が飽きてしまわないように工夫することもあります。今回長期間休園したことで、来園者の存在が動物たちにとって良い刺激になっていることがわかりました。

 6月2日から再開園になりました。退屈そうだった動物たちは興奮して遊びまわり、臆病な動物はいままで以上に警戒するなど、少しだけ動揺が見られましたが、大きな混乱はありませんでした。あらためて、来園者の方々に来ていただいてこその動物園で、見てもらうことは限られたスペースで生活する動物たちにとっても大切な刺激だと思いました。まだまだ新型コロナウイルスの第2波に警戒が必要なため、皆さんに感染予防対策のご協力をしていただきながら、動物園を開園し続けガイドイベント等も順次行えるようにしていきたいと思います。    

                             
(井上 志保)

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