でっきぶらし(News Paper)

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254号(2020年06月)5ページ

あらかると  お休みなのに大忙し?

 動物園に来るお客様の多くは土曜日・日曜日がお休みだと思いますが、基本的に当園は月曜日がお休みの日、いわゆる「休園日」です。さて、皆さんは休園日と聞いて何を想像しますか?「動物も飼育員もお休みでのんびりしている日でしょ?」とよく言われますが、全くそんなことはありません。たとえ休みであっても実は動物園の中はいつも通り動いています。というのも動物たちは基本的に不規則な生活があまり得意ではありません。朝起きる、寝室から外に出る、フンをする、ご飯を食べるなど毎日の生活リズムは決まっています。人間のように「今日はお休みだからテキトーにだらだら過ごそう」とはいかないのです…。なので飼育員もいつも通りエサを作ったり、動物の体調を確認したり、部屋の掃除をしたりします。またそれだけでなく獣舎(動物のいる建物)の消毒や修繕、設備の点検、展示物の手直し、草むしりなども休園日に行います。「え?飼育員なのにそんなこともするの?」と思う方もいるかもしれませんが、逆です。飼育員だからこそ動物に関係することは、できる限り自分達で行うのです。飼育員というより「何でも屋」に近いですね(笑)。
 もちろん動物たちにも休園日だからこそできることがあります。その一つが「お見合い」です。同じ種類の動物と言えどオスとメスが初めて会うときは何が起こるか分かりません。すぐに仲良くしてくれることもあれば、全く合わないことや片方が気に入っているのにもう片方は知らんぷり…なんてこともあり、その反応は様々です。最初は良かったのに片方がベタベタしすぎて嫌われてしまうなんてこともあります。飼育員はその時々の反応を見て、獣医と相談し、今後どうするかを決めなければいけません。そのため必ず観察ができ、すぐに対応できる休園日に行うのです。他にも猛獣の爪切りや専門のダイバーが潜って行うアザラシのプール掃除、ウマの削蹄、群れへの新入りの加入、動物の手術や搬入・搬出なども休園日に行うことが多いです。飼育員や獣医だけでなく動物たちも大忙しですね。
 今回は紹介できませんでしたが、動物園には他にもイベントを企画して実行する係や施設の管理をする係など様々な担当があり、そのどれもが休園日には慌ただしく動いています。今回の記事を通して、より良い動物園作りのために休園日がいかに大切かというのが少しでも多くの方に伝われば、一動物園職員としてとても嬉しく思います。もしあなたの周りに動物園の休園日を誤解している人がいたら、ぜひその誤解を解いてあげてくださいね。

(藤森 圭太郎)

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