でっきぶらし(News Paper)

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245号(2018年12月)7ページ

病院だより

 初めまして、私は今年の春から新しく飼育員になった宮原しおりです。現在、動物病院で働いていて動物達に囲まれながら掃除や餌作りをしたり、獣医さんのお手伝い(治療時など)をしたりと毎日楽しく過ごしています。働き始めて半年が経ちましたがまだまだ未熟者です。少しでも早く先輩方に近づけるよう日々精進していきたいと思っております。
 さて、動物病院には色々な動物がやって来ます。その理由は、傷病、検疫、人工保育など様々です。また県の委託事業で、野生傷病鳥獣の保護をしています。今回は夏に保護されたカルガモについて書かせて頂きます。
 8月のある日、病院に1羽のカルガモの雛が保護されて来ました。この雛は傷もなければ弱っている様子もありませんでした。つまり誤認保護です。健康な状態なら保護する必要はありませんが、放鳥を目指し大きくなるまで飼育することにしました。
 雛はまだ小さく握り拳程の大きさしかありませんでした。餌の食べ方を学ばせるため育雛室に2羽のヒヨコと共に入れました。雛はヒヨコを見て餌を食べ、後ろをついて行ったり、くっついて寝たりしていました。雛にとってヒヨコは親代わり兼先生のような存在だったと思います。そんなヒヨコ先生より大きくなった頃、体に異変がありました。「そのう」という、食べ物を一時的に蓄えておくところが大きく膨らんでしまったのです。獣医さんに相談したところ様子を見ることになりました。翌日には小さくなりましたが、再発したため消化管の動きを良くする薬を投薬しました。その後「そのう」が異常に大きくなることはなく、ほっとしました。
 私の心配をよそに、カルガモはどんどん大きくなっていきました。カルガモの食欲は留まるところを知りません。餌を置くとものすごい勢いで体ごと餌皿に入って食べ始め、30秒後にはきれいに1粒も残さず食べ終わっているので見ていて気持ち良かったです。また、睡眠にも磨きが掛かっていました。朝部屋を覗くと小屋の中で熟睡していて、ちょっとやそっとの音では起きませんでした。そんな愛らしいカルガモともずっと一緒にはいられません。ついに放鳥する日が訪れたのです。2か月と19日経った日、立派に成長したカルガモを湖へ放鳥しました。見慣れない場所に不安そうでしたが無事に湖の中に入っていきました。今頃仲間と仲良く暮らしていると思います。
 最後に皆様に大切なお知らせがあります。動物園では静岡県から委託されて傷病鳥獣の保護を行っています。怪我をしている、もしくは弱っている動物を見かけた際には、動物園に直接持ち込まずに窓口(静岡県自然保護課221‐3332)にご相談ください。
(宮原 しおり)

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