でっきぶらし(News Paper)

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231号(2016年08月)5ページ

アヒル池にいるのは…?

 ふれあい動物園は今日も暑い~‼でもアヒル池のアヒルとガチョウたちは、水浴びして気持ちよさそうだね♪あれ?アヒルとガチョウの中に、1羽だけ黒白の鳥さんが混ざっているよ…?
 実はこの子がこのお話の主役、「ツクシガモ」という種類で、名前はチビっていうんだ!ツクシガモは、その名の通り、カモの仲間。野生ではユーラシア大陸やヨーロッパに住んでいて、寒い時期になると日本にも渡って来る渡り鳥。ふれあい動物園のアヒル池には、ツクシガモは1羽だけ。
 日本平動物園には、他にも3羽のツクシガモがいるんだけど、他の子たちはフライングメガドームで自由に泳ぎ回っている。なんでチビはアヒルたちに混ざっているのかな…?実はチビはこの春に飼育員の手で育てた、まだ子供のツクシガモなんです。ツクシガモは春に卵を産んで、お母さんが約1ヵ月も卵を温めて、赤ちゃんが産まれてきます。
 日本平動物園では毎年、お母さんが一生懸命に卵を温めていたけど、赤ちゃんが産まれなかったり、せっかく産まれてきても、広いフライングメガドームの中でお母さんについて行けずに死んでしまったりしていました…。今年も4月に巣箱の中を覗いてみると、お母さんが7個の卵を温めていました!元気な赤ちゃんを育てるために、今年はお母さんと飼育員で半分ずつ、卵を温めることにしました。お母さんがごはんを食べている間に、こっそり3つの卵を預かってきました。卵を温めるといっても、飼育員がお母さんのように、ずっと卵を抱いていることは出来ないから、卵は孵卵器(ふらんき)という機械で温めます。孵卵器の中の温度は、37℃。暑そうだけど、お母さんのお腹の下と同じくらいの温かさなんです。そして、一日3回、卵の上下をひっくり返します。これは転卵(てんらん)といって、中の赤ちゃんが卵の殻にくっつかないようにするためです。お母さんが温めている卵は、お母さんが身動きした時やご飯を食べに行くときなどに、自然と転がっています。卵を孵卵器に入れたら、あとは待つだけ♪ ドキドキしながら待つこと1ヵ月…。5月のある朝、卵を見に行くと、1つの卵の殻に小さなヒビが入ってる‼赤ちゃんは卵の中から殻を突いて、自力で産まれてきます。でも、次の日の朝になっても、少ししかヒビが広がっていない…。なかなか卵が割れないと、途中で力尽きてしまうこともあるので、ピンセットで少しだけ殻を破るお手伝いをしました。すると、お昼には残りの殻を自力で破って、無事に赤ちゃんが誕生‼体重64gの小さい赤ちゃんだから、名前はチビに決定~♡他の卵と、お母さんが温めていた卵は、残念ながら赤ちゃんは産まれませんでした。
 カモの赤ちゃんは、産まれてすぐに自力で立ち上がって、ごはんも食べることができます。野生では水中のコケや、カニやエビなどの甲殻類を食べています。チビのごはんは、小松菜や水鳥とフラミンゴ用のペレット(動物に必要な栄養素を固めたもの)。細かく刻んで、水でふやかしたごはんをパクパク食べていた。そこからの成長も早くて、6月の終わりころには、体重が700g、見た目も大人とほとんど同じになった。フライングメガドームの池は深くて広いから、まずはアヒル池で泳ぎの特訓‼好奇心旺盛なチビ、初めてアヒル池で泳いだ時には、アヒルやガチョウたちに少しビックリしながらも、水中に潜ったり、毛繕いしたりして、楽しそうだった♪もう少し大きくなったら、フライングメガドームで仲間と一緒に泳げるかな?チビを近くで見られるのは今だけ!アヒル池に会いに来てね~♡

(飼育係  江林 奏絵)

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