でっきぶらし(News Paper)

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221号(2014年12月)2ページ

足の裏の毛

 秋も深まり隣は何をする人ぞ、なんて悠長なことを言っている場合ではない。今は食欲の秋、多いに食べデブになろう。久々に原稿を書く順番が回ってきたのでホッキョクグマのロッシーの生い立ちのことでも書いてお茶を濁しますか。
 愛称ロッシー(公募でえらばれた名前)本名ピョートル。ロシアのレニングラード動物園生まれ。父親は野生で祖母と一緒にロシア北部で保護されたメンシコフ(雄24才・ロシアでは自然保護局に申請すれば捕獲することが取りあえず可能)。ちなみに祖母の方は保護された所の名前を取ってアンデルマ、母親はモスクワ動物園から来たウスラーダ(雌25才)。この二頭から生まれた第一番目がシモーナ(♀)でありこの子の長男が旭山動物園のイワン、第二番目がコーラ(♀)、第三番目がリア(♀)で・・・・第10番目に生まれたのが仙台の八木山動物園にいるカイ君となり、第12番目に生まれた双子の内の一頭がピョートル、もう一頭がロシア東部の動物園に居るクラーシン(すでに子供がいます)で現在は16番目の子供を育児している状態。おいおい凄い夫婦ですね。普通雌は自然界では一生涯にだいたい4回ないし5回ぐらいしか出産しないのに(新記録?)、これだけ産んでいれば日本平動物園にだって貸してくれてもいいのかな?
 ロッシーが来た時にはロシア側からいろんな条件がありたとえば餌に関してはこの肉はダメとか野菜はこれとこれをやってほしいとか・・・、とは言っても手に入る物は限られているしなかなか厳しい。飼育しているからにはちゃんと遊んで人に慣れさせろなど、とちょっと難しい所がありました。
 ロッシーを貰えて、やった!と言う声を聞いたけど、実際には繁殖を目的とした貸し借りで正確には「ブリーディングローン(BL)」と言います。初回の契約は10年となります、まもなく期限も切羽詰まってきたし(この事に対しては園として努力していくつもりです)おじさんの私もそろそろ定年だし、二世も見てみたいしなんて言っている今日この頃です。
 さて近況も皆さんに少し話しておかないと。実は繁殖に際し寝室が足りないので、雄用に放飼場を兼ねて猛獣館の隣に増築をしている所です。しかしこの話も担当としては、もっと広くしてくれなどと言いたいことを言ってきたけれど、とどのつまりがお金の事になってしまうので却下されてしまいました。隣に増設するはいいですが、猛獣館の耐震の壁をぶち抜くと言う荒業があって、この工事だけで約一ヶ月もかかるとのことであり、その間ロッシーを閉じ込めることと相成りまして、おとなしくしていてくれるのか心配で、担当の私もストレスが少々たまって変な時に風邪なんぞひいてしまった。本当は閉じ込めの時期をもっと早く5月くらいにしたかったのですが工事の日程上この時しかないと言われてしぶしぶ了解をした。(じつはロッシーはこの猛獣館にはじめて入れたときに足の裏の毛がほとんど擦り切れてしまうという出来事がありました。この工事が春先に行われるならば春の換毛のタイミングも合い、良いチャンスと捉えたのです。実際は換毛は春先なので時期は多少ずれているが、ここで寝室に押しこめば足の裏と尻尾に毛が生えてくると思っていたから)
 という訳で9月の頭から部屋の方には収容したのだが(部屋には床材として唐松のチップがゴミ袋20杯位入れてある)、最初の2週間くらいは何事もない位に静かなものでこの頃になると足の裏もかなり毛が生えてきてやった!と思っていました。モニターで確認してもおとなしく寝ている状態であったが、後半はもう部屋の中でうろうろするは立ち上がるは出入り口のシュートを叩くは全く落ち着きが無く、仕方なく2~3日おきにかるい餌を持って覗きに行ったのですが、その度に小便混じりのチップを嫌というほどかけられて担当もイヤだっけ。でもロッシーにしてもこんな所に閉じ込めやがってと、イヤだったんでしょう。工事も予定より1週間ほど延びたけれど、なんとか出来たので外へ出す準備のために室内プールに出したところまるっきりの茶熊!白熊ではなく茶熊。だけど室内プールが狭すぎて右往左往する間に足の裏の毛はまた擦れ切れ始めるし、本当に苦労が絶えない。早く外に出して少しでも静かにしていてほしいよ、11月からは外で野宿生活になり観客のみなさんに御迷惑をかけますがそこの所はよろしくお願いします。

飼育係 ホッキョクグマ担当 田地川恭仁

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