でっきぶらし(News Paper)

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219号(2014年08月)6ページ

スポットガイドだより No.1

《5月18日 チンパンジー》

 5月に入ると最高気温が25℃を超す日もあり、半そで姿のお客さまも見られるようになってきました。この日も20℃を超える晴天の中、チンパンジーのスポットガイドが行われました。10年以上チンパンジーを担当しているベテラン飼育員によるお話の後、チンパンジーに木の枝(ネズミモチ)を渡すと、人工アリ塚の中に入れたオレンジジュースを器用になめ始め、多くのお客さまがその仕草や表情に釘付けになっていました。
 チンパンジーはサルの中でも「類人猿」と呼ばれ、その名の通りヒトにとても近いサルです。チンパンジーの他に、大型類人猿であるオランウータンとゴリラ、ピグミーチンパンジー(ボノボ)、小型類人猿であるテナガザルも類人猿に含まれます。類人猿の特徴は、尻尾がないということです。厳密に言うと、非常に小さく退化した尻尾の骨(尾てい骨)は体の中に残っていて、筋肉の付着部位として役に立っています。一般に、長い尻尾は素早く動く際に体のバランスを保つ働きがあります。大型類人猿は体重が重く、手足でしっかりと枝をつかんで体を支えながらゆっくり樹上を移動していたため、尻尾の必要性が減ったのではないかと考えられています。しかし、小型類人猿であるテナガザルは非常に俊敏に動きますが、尻尾がありません。それは、テナガザルが「腕渡り」と呼ばれる特殊な移動方法を採っているからです。長い腕でぶら下がり、体を振り子のようにして枝から枝へ飛び移るため、尻尾でバランスをとる必要性が減ったと考えられています。
 中型サル舎や小型サル舎には、頭胴長よりも長い立派な尻尾を持つサルも展示されています。それぞれのサルの動きを見ながら、尻尾の役割を考えてみてはいかがでしょうか。

スポットガイド班 横山 卓志

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