でっきぶらし(News Paper)

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208号(2012年10月)2ページ

伝わることばの使い方と大切さが身にしみる

 ふれあい動物園に二十三年ぶりに戻り、前回の五年間の時とまったく変わってしまって、右も左もわからない新人の気持ちでやっています、おじいさん飼育員です。漢字が読めないし、書けないし、そのうえ標準語を話すことが苦手な自分に嫌気が差す日々です。週三日間労働ではありますが、割り当てられた仕事はやり通さなければならないのです。
 以前の事を思い出しながら動物の飼育、観察は何とかやっているつもりですが、以前の時の様に余裕がありません。昔と違い、今はふれあいの時間が決まっているので多くの方が楽しみにしながら集まって来るのにはびっくりしました。
 ここに異動して来る前は、は虫類の担当を数年間やっていたため、裏方での作業が多く、ふれあい動物園の様子などまったくわかっていませんでした。多くの方が喜んでいる様子には驚きました。また、ボランティアの方も多く、やさしい言葉で、ていねいに動物の話をし、動物とのふれあい方もわかりやすく説明していました。
 「正直、俺には難しそうだが、みんな、いきいきしているし、俺も何とか、動物とのふれあい方を教えることを頑張らなければならないなあ。」と思い、少しずつ子どもたちに話しかけてみました。ですが、うまくいきません。なんせ私は表情が硬くなってしまい、怖い顔になってないかなぁと心配してしまうのです。
 そこで、ちょっと子どもたちの目を引こうと、あることを思い出しました。ヒヨコを使い、ヒヨコのちょっと不思議なしぐさをみせるのです。不思議、驚き、な〜るほど!やってみると子どもたち、学生や大人の方も感動してくれます。(これは受けるぜ〜。)幼児、園児はそのままでも満足しますが、小学三年生〜大人には、種あかしをして説明をします。その種明かしに、大人も感心し、お礼を言ってくださるほど、喜ばれます。ただ、残念ですが、これは、時々しか行っていません。
 また今までの動物園人生と大きく違う事は若い職員と仕事を一緒に行うことです。とても嬉しく、若い職員が一緒にいると仕事に励みにもなります。だけど田舎育ちの自分があまり調子に乗りすぎて、悪ふざけをしてしまい、若い職員たちに嫌われないか心配になります。気にしているとよけいに言葉がでなくなってしまい、来園者との会話にも影響が出てしまう有様なのです。
 『こりゃだめだ?』とつぶやきながらも、ここで弱音を出しては動物にも若い職員にも嫌われてしまうかも?と不安になります。でも、なめられてなるものかと思い、みんなの前では一応いきがっている自分ですが、早くみんなに溶け込んでいこうと張り切っています。

飼育担当 清水 貞夫

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