でっきぶらし(News Paper)

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207号(2012年08月)2ページ

動物園は再整備の真最中です。

 動物園は再整備事業の真最中です。動物園の中央に位置する場所に、現在、新オランウータン舎と草食獣舎(アクシスジカ、バーバリシープ、ワラビーを飼育展示予定)の建設工事を行っています。
 昨年8月に江戸川区自然動物園より、ベネットアカクビワラビーのメスが来園し、草食獣舎の新たな住人となる予定です。(工事のため動物病院にて飼育中で見られませんが・・・。)
 当時、オグロワラビーを飼育していたため、種が変わることで飼育方法や与えている餌の種類などに変化がないか事前に情報収集し、殆ど今までとあまり変化がないことを確認しました。しかし、来園当初からなかなか採食状況が上がらず、個体に何か問題でもあるのかと思い、念のために健康診断を行いました。
 たまにヨダレを垂らしている姿が確認でき、少し気掛かりにはなっていたのでカンガルー種特有の放線菌症を疑いました。案の定、歯が欠けてかみ合わせが悪く、歯茎にも少し傷ができ下顎の辺りも少し腫れが確認できました。治療を重ね状態は回復へと向かいましたが、採食の改善には向かいませんでした。餌の切り方やペレット類と混合させないなど与え方にも多少の工夫をしてみましたが変わることはありませんでした。大好物と聞いていたパンも残す時は一体どうなってしまうのかと思いました。唯一、特別に違う物といえばモロヘイヤを別に与えていたくらいでした。飼料担当に発注を依頼し与えたところ、真っ先に口にし、「もしかして本当の大好物はモロヘイヤだったのか!?」ということがその時は理解できました。
 その日からパンとモロヘイヤだけは残すことが殆どなく完食してくれていましたが、そんな状況も長くは続かず、大好物と思い込んでいたモロヘイヤも残すことが目立つようになりました。野生では口にすることのない物を飼料として与えている以上色々と問題はあると思いますが、全体的に飼料を見直すことは動物にとっても負担が大きいため様子を見ていくしかありません。
 試しに園内に生えているタンポポや、桑の葉、シイの葉など幾つかの種類を与えたところ、タンポポの葉が一番お気に入りなのか好んで口にしていました。しかし、採取するのも時期的なものもあるので、これから様々なものを試していく必要があるかもしれません。未だにパンを除いて、何が大好物なのかがはっきりとわからない状態で、現在も採食状況は食べたい物を口にするという感じで気分次第と言ったところです。健康状態は非常に良いので、健康に長生きするための秘訣は粗食で腹八分目ということなのかも知れませんね。

飼育担当 佐野 彰彦

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