でっきぶらし(News Paper)

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205号(2012年04月)1ページ

同じトゲでも…

 夜行性動物館に新しい仲間がやって来ました。
 ヨツユビハリネズミが4頭です。井の頭自然文化園から2月7日来園しました。
 ヨツユビハリネズミはアフリカ大陸中央部のサバンナにすみ、ハリネズミの仲間のうちでは小型の種類です。他のハリネズミの指は前足後足とも5本ですが、ヨツユビハリネズミは後足の指が4本なのがその名前の由来です。
 体は針のように変化した毛(トゲ)でおおわれ、敵におそわれると体を丸め、トゲを立てて身を守ります。その時の姿は大きなクリのイガのようです。
 当園では夜行性動物館に、やはり体中にトゲを生やした動物、アフリカタテガミヤマアラシがいます。この2種類をくらべてみましょう。
 ヨツユビハリネズミは「ネズミ」という名がついていますが、げっ歯類のネズミとは別の動物で、モグラに近い仲間です。げっ歯類であるヤマアラシとは縁の遠い動物です。
 ヨツユビハリネズミの大きさは全長15〜20cm、体重300gぐらい、アフリカタテガミヤマアラシは全長60〜93cm、体重13〜27kgとはるかに大きい動物です。
 ハリネズミがトゲを立てた時に素手で持つと痛いですがトゲが抜けて刺さるということはありません。いっぽうヤマアラシのトゲは相手に刺さると抜けてしまい、刺さった敵を苦しめます。
 また、ハリネズミは敵に襲われると体を丸めてじっとしているという、防戦一方の作戦を取るのに対し、ヤマアラシはトゲを逆立てた背中を敵に向けて身を守るだけでなく、さらに相手に向かってバックで突進するという攻撃にでます。ヤマアラシは敵にむかってトゲを飛ばすと言われたこともありましたが、もちろんこれは迷信です。
 食性はハリネズミが昆虫やミミズ、その他の小動物を食べます。ヤマアラシは植物の葉、茎、樹皮などを餌にしています。
 夜行性動物館で、2種のトゲの違いなどを見比べてみるとおもしろいかもしれません。
さて、春の園内では再整備の工事が続いていますが、4月にはエントランスゲートの施設が完成します。新しい正門が皆さんをお出迎えします。
 動物園の東側にあるふれあい動物園はこれまで一部が出来上がり、ふれあい館とポニー舎が公開されていました。そして残りの工事が終了し、この3月27日にふれあい動物園の全体がオープンしました。
 工事の間、ふれあい動物園の動物たちは仮住まいできゅうくつな思いをしていましたが、新しい施設でのびのびと過ごしています。
 ポニー舎に居そうろうしていたヤギたち、井川牧場に預けられていたヒツジ、動物病院に「幽閉」されていたプレーリードッグ、そしてバックヤード棟に転居していたアヒル、ガチョウたちが、完成した新居で皆さんとの再会を待っています。

動物病院担当 菅野 展美

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