でっきぶらし(News Paper)

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200号(2011年06月)3ページ

新人です

 はじめまして。この春から日本平動物園では7人の新人飼育員が働く事になりました。私もその中の一人で、動物病院の担当です。小さい頃からずっとあこがれていた飼育員としての毎日が始まりました。
 動物病院には、市民の皆様が保護してくださって現在治療を受けている動物や、まだ生まれたてでミルクをあげなければならない動物、展示されるのを待っている動物などとてもたくさんの動物が暮らしています。さらにそれぞれの動物ごとに餌の種類やあげ方、棲みかに必要なものが違うので覚えることがたくさんあります。そんな時、先輩の飼育員の方々や獣医さんにいろいろ教えてもらっているのですが、教えてくださるのは人間の先輩だけではありませんでした。
 私が掃除をしていると、窓の外から強い視線を感じます。掃除をしている部屋の住人のアムールヤマネコが私の掃除っぷりを「じーーー」っと観察していました。まるで「ちゃんと掃除しているか?」と言っているかのようです。終わってから部屋に入れると必ず「くんくん」と床や壁を嗅ぎ、きれいになったかどうかしっかりチェックして、私の方をちらっとみて定位置に移動します。 アムールヤマネコ先輩はこのような掃除チェックを毎日繰り返してくれています。普段は「しゃー!!」と威嚇されますが、掃除の後にはこのような優しさも感じます。
 他にも先輩はいるようで、ホースで水をまいて掃除をした後、その隣の部屋から「かりかりかりかり」と爪をとぐような音が聞こえました。気になって見てみると、ホースの水が隣のフェネックの部屋に水たまりを作ってしまっていました。水たまりができてしまうたびにフェネックはそのような方法で教えてくれます。もちろん、フェネックが水浸しになるような大きな水たまりではありませんよ!水を切ると爪とぎのお知らせもやみます。時には「うあぁぁぁぁ」ととても変わった鳴き声で知らせてくれる時もあります。まるでお父さんがうがいをしているような…。夜行生動物館で最初はあんなにかわいいフェネックがこんな鳴き声を出すとは思わず、せっかく先輩が知らせて下さったお知らせに気付かない時もありました。
 動物病院にいるのはほ乳類だけではありません。体の下にひいている新聞を換える時には必ず体を浮かせてくれるインコや、自分の後ろ足で前足をつかんでしまってしばらく動けなくなっているカメレオンもいます。
 普段は動物病院にいる先輩たちですが、早く元気になって皆さんにお会い出来るように私がしっかりお世話をしていきたいと思います。
 動物園で働いていると、つい数ヶ月前までは知らなかったことがとてもたくさんあり、日々勉強の毎日です。体重100gもないようなピグミーマーモセットの赤ちゃんたちだって、私より前から動物病院にいる大先輩です。いろいろな先輩のご指導により、新人飼育員は毎日少しずつ成長しています。これからもっともっと良い飼育員になるまで温かく見守っていただきたいと思います。

動物病院 板東 はるな

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