でっきぶらし(News Paper)

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198号(2011年02月)1ページ

ウサギ年にジャンプ

 新しい年が明けました。今年はウサギ年です。日本平動物園のふれあい動物園にはヒヨコ、モルモット、ウサギにふれたり抱っこしたりできる小動物のふれあいコーナーがあります。
 昨年の暮れには年賀状の図案用に記念撮影をする人たちの間で、ウサギが大人気だったようですね。ふつうペットとして飼われているカイウサギはヨーロッパから北アフリカ原産のアナウサギがもとになっています。アナウサギは地面に穴を掘って巣穴にし、赤ちゃんは巣穴の中で生みます。生まれたての赤ちゃんウサギは毛が生えていなくて、目も開いていません。いっぽう、日本で野生にいるニホンノウサギなどノウサギの仲間は地面のくぼみなどを巣にします。赤ちゃんは生れた時から毛が生え目も開いているなど、カイウサギとは生態がかなり違います。
 昨年の10月30日に、夜行性動物館にいるキツネのなかま、フェネックに双子の赤ちゃんが生まれました。生まれてから姿を見せるまでひと月ほどは巣穴から出てきませんでした。鳴き声から無事育っているらしいというのはわかるのですが、果たして何頭生まれたか、元気にしているか、姿を見るまでは心配なものです。
 そしていよいよ赤ちゃんフェネックが巣穴からその姿を見せる日が来ました。赤ちゃんは双子でした。無事大きくなってよかったなあと胸をなでおろしてもう一度赤ちゃんフェネックを見ると、なんと一頭のしっぽがありません。もう一頭の赤ちゃんフェネックにはキツネの仲間の特徴である立派なしっぽがあるのですが、片方の子にはしっぽが影も形もありません。
 さてどうしたことでしょう。動物の親は赤ちゃんの体をなめてきれいにしたり、おしりをなめて赤ちゃんがおしっこやうんちをするのを助けたりすることがあります。どうやらお母さんフェネックがしっぽの根元をなめすぎて、無くなってしまったようです。しっぽがない赤ちゃんフェネックはちょっとバランスのとれない姿になってしまいましたが、兄弟や両親と元気に遊びまわっている様子をみると不便ではなさそうです。今では体長30cmくらいにそだちました。みなさんもこの双子のフェネックの成長を応援してあげてください。
 猛獣館299のアザラシ水槽に、新しい仲間がふえました。オスのゴマフアザラシのソラ君です。12月13日に北海道から飛行機に乗って羽田空港経由でやってきたのです。ソラのふるさとはみなさんよくご存じの旭山動物園です。ソラは2005年3月生れ、今年で6歳になります。おととし日本平動物園にやってきたソウヤとシズの二頭より3歳お兄さんです。体はふたまわりくらい大きく、到着した時の体重は約110kgでした。日本平動物園に着いて最初のころはまだ慣れないせいか陸にあがっている時間が多く食欲もいまひとつでしたが、しばらくするとソウヤ、シズとも仲良く水槽のなかをすいすい泳ぎまわるようになりました。
 さて、昨年レッサーパンダ、アムールトラ、オランウータンに赤ちゃんが生まれているのは前号のでっきぶらしでお知らせしましたが、この赤ちゃんたちの名前が公募で決定し発表されています。フェネックの双子も、先日名前の公募をおこないました。この文章が掲載されるころには名前が発表されていることと思います。なんという名前になっているか楽しみです。
 今年はウサギ年。これらすくすく成長している赤ちゃんたちにとっても、ジャンプの年であってほしいものです。

動物病院 菅野 展美

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