でっきぶらし(News Paper)

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196号(2010年10月)4ページ

≪実習だより≫獣医実習を終えて

 今回、私は、8月23日から27日の5日間、日本平動物園内の病院で実習させていただきました。実習の目的としては、普段かかわることがあまりない野生動物の治療や飼育の方法に興味があり、それを体験しこれから学生生活とその後にいかしていきたいと思ったからでした。
 実際の実習でさせていただいた内容は、園内の動物の見回りと治療、入院動物の世話と掃除、市内などで怪我をして運ばれてきた野生動物の治療でした。
 中でも園内の動物の見回りについて、とても印象に残ることがありました。それは、他の動物園では要請があった場合に見回りに出向くという形をとっているらしいのですが、日本平動物園では、獣医師の方が、飼育員の方から動物の様子で少しでも気になることがあれば、報告を受けたいということで毎日、朝と夕方の園内の動物の見回りをしていました。これは、野生動物を飼育していく中で、とても重要なことであると感じました。野生動物の飼育に関しては、症例が少なく飼育員の方とのコミュニケーションを密にとっていき、動物の日々の変化を把握することで、動物の治療などにつながると感じました。また、チンパンジーやオラウータンなどの霊長目の動物は、人を識別できるので、毎日見回りをして、声をかけることによって、顔を覚えてもらうことで、今後の治療などがしやすくなるということなので、ここでも見回りの重要性を感じました。
 他には、怪我が治癒した鳥の放鳥、吹き矢を使った治療や野生動物をまじかで治療することなどを見学させていただきました。放鳥では、治療した鳥が元気に羽ばたいていく姿を見て、寂しさを感じるとともにほっとしました。鳥によっては、うまく飛べずに、すぐ近くに落ちてしまい、また病院に逆戻りすることもあるそうなので・・・
 また吹き矢を使った治療では、近づいて治療することが困難な動物に対して行ったので、檻越しで見ているだけでも、とても緊張しました。麻酔には、リスクを伴うので、簡単には野生動物には麻酔をかけられない難しさがあることを実感できました。その一方で、まじかで治療が可能な動物の治療も見学させていただきました。声をかけて近づいて、触って様子を伺って治療するという形をとっており、近づくことが危険な動物との治療の違いを感じました。
 今回の実習では、普段の学生生活では、経験できない多くの貴重な体験をさせていただくことができました。動物病院の菅野先生をはじめ、獣医師の方々、飼育員の方々、短い間でしたが、本当にありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げさせていただきます 。

北里大学獣医畜産学部獣医学科5年 石渡 卓哉

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