でっきぶらし(News Paper)

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194号(2010年06月)1ページ

サルの赤ちゃん続々誕生

 初夏になると日本平動物園の周囲の林は目にも鮮やかな緑におおわれ、野鳥のさえずりに包まれます。ツツジの花の季節が過ぎて6月になると、動物園内ではペンギン舎から子供動物園にかけての園路に沿って、色とりどりのアジサイの花が咲き誇ります。
 さて、この春に日本平動物園で生れた動物の赤ちゃんたちをご紹介しましょう。
 第一小型サル舎のピグミーマーモセットに4月3日、双子の赤ちゃんが生まれました。ピグミーマーモセットはおとなでも120グラムくらいしかない小さなサルで、アマゾン川上流域に生息しています。
 生れた赤ちゃんはお母さんやお父さんの背中につかまって育ちますが、親と同じ黄褐色の毛色をしているので、よく見ないとつかまっている赤ちゃんがどこにいるのかよくわかりません。赤ちゃんはお母さんかお父さんが別々に1頭ずつ分けておんぶすることもありますし、片方の親が2頭いっしょにおんぶすることもあります。2頭いっしょにおんぶしているときはちょっと重たそうで、育児もたいへんだなあと同情させられます。そのせいかどうかわかりませんが、この両親、育児の途中でときどき赤ちゃんをケージのなかに置き去りにして担当飼育員さんをハラハラさせました。でも、昨年も双子を育て上げたベテラン両親なので、いまではしっかり背中に2頭の子供を乗せて育児に奮闘中です。
 同じ第一小型サル舎のワタボウシタマリンにも4月19日に赤ちゃんが生まれました。
 ワタボウシタマリンは中米南部から南米コロンビアの北西端の海岸沿いに生息する白い頭の毛が特徴の小型のサルです。頭の白い毛はくさび状に長くのびてまるで酋長の羽根飾りかモヒカン刈りのようなユーモラスな髪形です。背中は褐色で、おなかと手足は白色をしています。赤ちゃんも体全体の配色はだいたい同じで、頭の白い毛も生えています。ただし毛の長さはまだ短いので、頭のてっぺんに白い帯が一本走っているといった感じ。生まれたワタボウシタマリンの赤ちゃんは一頭で、お母さんの首の後ろへ横むきにしがみついています。
 中型サル舎では4月25日、ブラッザグェノンに赤ちゃんが生まれています。ブラッザグェノンはアフリカの中央部にすむサルです。ブラッザグェノンのおとなの体色は灰色で額にオレンジ色のひさしのような毛があり、頭には黒の帽子のようなふちどりがあります。そして白いあごひげが特徴です。赤ちゃんは全身薄茶色で帽子もあごひげもなく、親とはだいぶ印象が違います。生れてまもなくのころは、だっこしているおかあさんの脇腹から、かわいい手だけが覗いていましたが、少し大きくなってくるとお母さんのおなかから頭を放しての顔がよく見えるようになりました。
 そして、5月1日には、第2小型サル舎でエリマキキツネザルに双子の赤ちゃんが誕生しました。エリマキキツネザルは、マダガスカル島にすむキツネザルの仲間で白黒のツートンカラーの体色に、耳からのどにかけてえりまきのような長い毛が生えているのが特徴です。エリマキキツネザルは他のサルと違い、母親は子供を巣に残して授乳のとき巣に戻ります。このエリマキキツネザルのお母さん、おととしと去年にも出産し子供を育てているのですが、今回は子の面倒をみる様子がなかったため、人工保育となってしまいました。2頭は動物病院の保育器の中に入って4時間ごとにミルクを飲んでいます。赤ちゃんはグレーの体にしっぽと肩と前足が黒く、耳は白。頭は黒くて額の中央にグレーのすじがあります。白いえりまきはまだありません。元気に育つよう、皆さんも心のなかで応援してください。

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