でっきぶらし(News Paper)

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186号(2009年02月)6ページ

マサイキリンのリキ元気に育っています

マサイキリンの母親(リン)が平成19年1月に当園では21年ぶりに出産しましたが、未熟児のため死亡して、今回は2回目の出産となります。

妊娠期間468日目の7月12日朝、餌を全部食べましたがいつもと様子が違うので、もしかしたら出産かと思っていると、そのうちに出産の前兆である羊膜が出始め破水が起こりました。

1時間40分後には陣痛も何回か起こり、前足の一部が見え始めました。足が見えたからといってもするっと子供が出てくるわけではなく何回か陣痛が起こり少しずつ出てきます。

その後、歩き回りながら陣痛があると止まっていきみ足の一部が少しずつ出てきました。前足が出てしばらくすると陣痛に合わせて鼻先が見え始め、やがて顔全体が見えると陣痛の間隔がだんだん短くなり、肩まで出てきました。

ここからは体の全体が出てくるのが早く、陰部2mくらいの高さから羊水とともに地面に落下して生まれました。出産までには3時間20分かかりました。

出産するとリンは子供を舐め始め、子供はぎこちなく動きますがすぐに起立することはできず、立ち上がろうとしては倒れるのを繰り返しながら1時間位してようやく起立することができました。

その後よろけながらもおっぱいを飲もうとリンの足の下にもぐりこみましたが足がまだしっかりしていないために倒れ、再び起き上がり母親に近づくとなぜか突然子供を蹴り始めてしまいました。

様子を見ましたがやめようとしないため、このままでは危ないので子供を離すことにしました。子供は体重が70kg、頭までの高さが178cmある男のでした。

ミルクはリンが面倒をみないことをあらかじめ想定して、農家から子牛を産んだ母親の初乳を頂き、冷凍して保存しておいたものを解凍して人肌に温めて与えました。最初は口の中に人間用の乳首を入れても口を開けず、むりやり口を開け流し込むようにして与えました。

数日すると自分から哺乳瓶の方に来るようになりました。その頃になると飲む量が多くなり、人間用哺乳瓶に何回か詰め替え与えましたが大変なので、哺乳瓶上部を切り取り1ℓペットボトルの上部に接着剤で取り付けた哺乳瓶で与えることにしました。

最初は牛の初乳50~1000ccを1日に3~4回与え、4日目からは子牛用の粉ミルクに変え、1週間後には1日に3回計3~4ℓに増やしました。この頃には担当者を見ると(ミルクをもらえる)条件反射でよだれをたらしながら近寄ってきました。

20日目頃より少しずつ餌を小さく切った物を食べるようになり、乾草もモグモグし始めまるようになりました。30日目にはミルクを1日3回6000ccとしました。

最初の頃は部屋の中にいて座ることが多かったですが、1ヶ月位すると時々外に出てくるようになりました。しかしリンが近づき蹴るような仕草をすると子供は部屋の中に逃げ込みます。

この頃は頭を下げずに走って部屋に逃げ込みましたが、最近ではしっかり頭を下げないとマセン棒に頭をぶつけてしまいます。元気に育っているので、名前の公募をして「リキ」と命名されました。

最近では外に出ていることも多くなり自分から体を両親の体にこすりつける行動も見られます。しかし、両親から体を触れられるとまだ逃げてしまいます。4か月を過ぎ、頭までの高さが243cmに成長し、ミルクも1日1回2000ccにして餌も多く食べるようになりました。

まだ、担当者を見るとよだれを流しながら近寄ってくる条件反射は相変わらずですが、元気に育っています。
(佐野一成)

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