でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 168号の3ページへ168号の6ページへ »

168号(2006年02月)5ページ

冬季だけの王様

皆さんご存知ですか?動物園内には大きな水禽池が2つあります。下の池にはモモイロペリカンとカナダガン、そして小型のカモ類が飼育されています。そして上の池には冬になると遠く北方(シベリア方面)から数十羽のカモ達が越冬のため飛来してきます。

そんな湖面を眼を凝らしながら眺めていると、カモ達に混じり、中でも一際体格の大きなカモがおり、一目瞭然に他のカモ達と種類が異なる個体がいます。よく見ると貫禄さえ感じ、親分らしき風貌のカモが1羽悠然と湖面を泳いでいる姿が見られます。

2年ほど前ある日突然この池に現れたこのカモ、その正体は「アイガモ」でした。アイガモは遡ること豊臣秀吉の時代から存在するアヒルとマガモを人間が掛け合わせて改良した、空高く飛べないカモの仲間です。最近は水稲作りにおいて無農薬栽培として水田の雑草などを除草するためアイガモを水田に放ち利用している光景をテレビなどで見ることがあると思いますが、あそこに出てくるカモがアイガモです。しかし、アイガモはマガモより大きく、アヒルより小柄な個体が一般的なのですが、この池の主はアヒルより一回り大きな体つきをしています。

上の池では、毎日朝の食事の時間帯になると、主(アイガモ)は何羽ものカモ達を従えて餌場に集結、まるで家来たちを引き連れ行列をする王様のような光景が見られます。しかしこの光景はカモ達が越冬のため飛来している冬季限定で、温かくなる頃にはカモ達は北方に渡り、また家来がいない独りぼっちの王様になってしまいます。

(海野 隆至)

« 168号の3ページへ168号の6ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ