でっきぶらし(News Paper)

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166号(2005年07月)6ページ

動物園実習だより   博物館実習を終えて

北里大学獣医畜産学部 八木萌子

今回学芸員実習として実質10日間、2週間にわたって日本平動物園の管理課にお世話になりました。実習内容は動物園が毎年企画し催している小学生対象の教育事業であるサマースクールの手伝いを主に行いました。

サマースクールは担当の飼育員の方がテーマと学習内容を決めて、動物園の動物たちを観察しながら子供たちに動物について学習してもらおうという企画で、学年別に8日間にわたって催されたのですが、毎日大勢の子ども達を相手にするのはとても大変で、また学年が違うと接し方や説明のポイントも変えなくてはならず、頭を悩ませることが多かったと思います。

特に上級生は実習期間が2日間に分かれていて実習テーマ・実習内容も難しく、子供たちからいろいろな質問をされることもありました。子供たちに自分も飼育員の一人として見られているということがプレッシャーになりましたが、その分責任感を養うことができもしました。

また、サマースクールというのは毎日がぶっつけ本番です。1日目の反省点を次の日に繰り返してしまうことの恐ろしさと綿密に計画を練り直すことの必要性、そしてサマースクールを主催し担当する職員の大変さもよく理解することができたと思います。

サマースクール以外でも、夜の動物園見学会のポスター作りやZOOスポットガイドで使うトラの吹き矢の的作り、ゲート前にかざる看板を作るなどの展示物の作成もしました。日本平動物園の園内にある動物以外の掲示物や展示物のほとんどが職員の方々の手作りということで、様々な工夫が施された展示が園内の至る所に設置されていました。

私もその一部を実際に作らせていただきましたが、いかに来園者の目を引きつけ興味を持たせる展示を作るかだけでなく、太陽光をはじめとする様々な環境要因による浸食をいかに避けるかが屋外に展示する物に対する現実的な問題であるということを実感することになりました。
 
そのほかふれあい子ども動物園やファン感謝デーのイベント、毎週末に催されるイベントで職員の方の仕事を手伝ったり、また、実習の合間をぬって園内の展示物や設備を見学したり、職員の方々から動物園の抱える問題や動物たちのマメ知識、他の動物園との交流、生涯学習施設としての取り組み、日本平動物園独自の教育事業などを説明していただいたりと、管理課の職員の方々だけでなく飼育課、動物園協会、ボランティアの方々みなさんに、様々なことを教えていただきました。

私は今回の実習に訪れるまで動物園の役割を単一的視野でしかとらえられていなかったのですが、この実習を通して経営者側の立場を体験することで、動物園の存在価値をよりグローバルな視野で見ることができました。

動物園は動物という展示物を資料とした地域住民の学習の場であるのはもちろんのこと、市民に活動の場を提供する役割も担い、また稀少動物の保護施設、繁殖施設としての役割も担っているという意味で、とても重要な価値の高い施設だと思いました。

2週間という短い期間でしたが、毎日の体験はどれも新しく貴重で勉強になることがとても多かったと思います。大切な教育機関、娯楽機関である動物園の実習で学んだことを忘れずに、これからは動物園の存在を少しでも身近に感じながら行きたいと思います。

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